今日のことば

原文】
(くに)を為(おさ)むるの道は、教養の二途に出でず。教は乾(けん)道なり父道なり。養は坤道であり母道である。〔『言志録』第178条〕

【意訳】
国を治める道は、教化と民生(民の生活を安定させること)の二つ以外にはない。民を教化することは天の道であり父の道である。民の生活を安定させることは地の道であり母の道である。
【一日一斎物語的解釈】
組織マネジメントの要諦は、教育と生活の保証にある。家族経営に例えるなら、メンバーを教え導くのは父親的な手法であり、メンバーの生活を安定させることは、母親的な手法だといえる。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の若手を誘って、「季節野料理 ちさと」に来たようです。

石崎「課長、今日は何故誘ってくれたんですか?」

神坂「お前は野暮な奴だな。飯を食わせるのに、一々理由なんかないよ!」

梅田「さすがです!」

「いいね、梅田。お前みたいに素直に喜んでくれた方が俺も嬉しいよ」

「私も喜んでいない訳じゃないですよ。でも、何か裏があるのかなぁと」

「それが下衆だって言うんだよ! ところで、お前たち、ウチの給料はお前の同級生たちと比べてどうだ?」

「ちょうど真ん中くらいじゃないですかね。良くもなく、悪くもない感じです」

「そうか。じゃあ、少なくて生活ができないって訳でもないんだな?」

「今後、結婚をして子供が出来たらどうかはわからないですけど・・・」

「仮にも俺が結婚して、二人のガキを育てているんだから、心配ないだろう」

「あ、そうですね。こうやって、私達に奢ってくれる余裕もありそうだし」

「誰が奢るって言った?」

「えー、割り勘ですか?!」

「そんなわけないだろ。冗談だよ!」

「ビックリさせないでくださいよ!」

「お前、驚きすぎだろ。(笑) 実はな、組織マネジメントで重要なことは、社員の教育と生活の安定を図ることだ、と学んだんだよ」

「たしかに、私達がまともに生活できないようでは、仕事に身が入らないですもんね」
ちさと「神坂君は、ちゃんと私の生活の安定も考えてくれているんだね!」

ちさとママが料理を運んできたようです。

「そりゃそうだよ。この店は俺の大事なサードプレイスだからね。俺の生活のバランスも崩れちゃうからさ」

「ありがとうございます!」

「そういうことだから、お前たちもこの店を使ってくれよな。ちさとママはきっとお前たちの良い相談相手にもなってくれるだろうしな」

「はい! 微力ながらご協力させて頂きます!!」


ひとりごと

組織の長は、自分の組織のメンバーの教育を担うのは当然のことですが、もうひとつ生活の安定にも努めるべきだ、と一斎先生は言います。

プライベートの問題ですから、立ち入るのは難しいことではありますが、仕事にも影響することですので、状況把握に努めるべきなのかも知れません。

いずれにしても、家庭の安定と仕事の成果は直結するものです。

よいパフォーマンスを求めるなら、できる範囲で生活の安定にも心を配るべきなのでしょう。

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