今日のことば

原文】
一物の是非を見て、大体の是非を問わず。一時の利害に拘りて、久遠の利害を察せず。政を為すに此の如きは国危し。〔『言志録』第180条〕

【意訳】
一つの善悪をとりあげて、全体を善悪を判断する。一時の損得に目がくらんで、長期的な利害を察することをしない。このような形で政治を行えば、国は存亡の危機に陥る。

【一日一斎物語的解釈】
一つの事例をとりあげて、全体を判断する。一つの商売の損得だけを見て、長期的な利害を察しない。このような形でビジネスを行えば、企業は長く繁栄できない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の本田さんの相談を受けているようです。

「M社が撤退するので、ウチでその後のフォローをお願いしたいと言われたのですが、課長はどう思いますか?」

「なぜM社は撤退するんだ?」

「あそこは担当者1名で整形外科・消化器内科・泌尿器科を担当しているんですが、整形外科の緊急オペが多過ぎて対応しきれないんだと思います」

「利益もあまり取れないんだよね?」

「整形材料の償還価格は毎年下がっていますからね」

「ということは短期的に見るとメリットは少ないわけだな」

「はい。ただ、3年後に病院移転・拡張の噂もあります。まだ、確定ではないようですが、その際にお役に立つことができれば、見返りも大きいと思います」

「依頼してきたのは、事務長さん?」

「はい。どこのディーラーも受けてくれなくて困っているみたいです」

「本田君は対応できるのかい?」

「私一人では厳しいですが、梅田に協力してもらえれば、なんとかなると思っています」

「なるほどな。梅田にはそのことは話した?」

「はい。やりたいと言ってくれています」

「たしかに短期的な損得でみれば、この話は受けるべきではない依頼だろう。しかし、ウチも長くお付き合いさせて頂いている病院だ。もちろん3年後に移転があれば見返りも期待できるだろう」

「はい」

「しかし、仮に見返りがなくても、ウチで対応できるなら、そのご依頼を受けるべきだよね?」

「はい、医療機関のお役に立つことこそ、我々の存在意義だと思っています!」

「さすがは本田君だ。ただし、一旦引き受けた以上は、『やっぱり無理です』はNGだぞ!」

「重々承知しています。勢いだけでお受けしたら、かえってご迷惑をお掛けすることになりますし、ウチのイメージも失墜します」

「短期的な損得でコトを考えるのではなく、より中長期的な視点が必要だ。そういう視点を失えば、我々は生きていけない。しかし、それ以上に損得より善悪でモノやコトを判断するという軸を忘れない様にしようじゃないか!」

「はい!」


ひとりごと

営業の世界に身を置いていると、どうしても短期の数字に目を奪われがちになります。

しかし、中長期の視点を持つことを忘れてしまえば、損得だけで物事を判断するようになってしまいます。

大事なことは、損得より善悪で判断する視点です。

それを忘れてしまえば、どんな企業も永続は不可能でしょう。


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