今日のことば

原文】
事を処するに理有りと雖も、一点の己を便ずる、挟みて其の内に在れば、則ち理に於いて即ち一点の障碍(しょうがい)を倣(な)して、理も亦暢びず。〔『言志録』第183条〕

【意訳】
物事を処理する際に道理が通っていたとしても、そこに自分への便益を求める心が少しでもあれば、せっかくの道理もさまたげられて、結局はうまくいかないものだ。

【一日一斎物語的解釈】
ビジネスを進める上でたとえ道理が通っていたとしても、少しでも利己心があるならば、その道理を覆い隠してしまい、結局はうまく進めることができないであろう。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長と帰りがけに軽くやっているようです。

「神坂さん、今年の巨人は結局負け越しですか?」

「まさか、ここまで転落するとはな。これでクライマックス進出って、恥ずかしいから辞退して欲しいよ」

「でも、たしか以前にもロッテが3位からCSを勝ち抜いて日本一になりましたよね?」

「あれを日本一と呼べるのか? って話だよ。ソフトバンクだって、2位から日本一になってるしな。あんなのはインチキだぜ!」

「じゃあ、神坂さんはCSは巨人に負けて欲しいんですね?」

「負けて欲しいというより、ちょっとだけ意地悪して、最後は負けてやれ、って気分だな」

「3位の癖に上から目線ですね」

「何位だろうと、我がジャイアンツは球界の盟主なんだよ!!」

「それにしても、ここまで失速してるのに、原さん続投というのも驚きましたね」

「そうなんだよ。俺はてっきり阿部にバトンを渡すんだと思っていたからな」

「もう選手たちの心が原さんから離れているんじゃないですか?」

「俺もそう見ているんだよなぁ。きっかけは中田翔の獲得じゃないかと思っているんだ」

「へぇー、何故ですか?」

「あれ、表向きは日本ハムの栗山監督が原さんに『翔を頼みます』と言われて、原さんも『彼をこのまま終わらせてはいけないと思ったから獲得したという話になっているよな」

「えぇ、美談として語られていましたよね」

「俺も最初はそう信じていたんだけど、すぐに中田を使っただろ。俺はあの時に『あれ?』って思ったんだよな」

「中田が打線に加われば、得点力不足を解消できるという打算があったと?」

「そのとおり。少なくとも阿部2軍監督の下で、1ヶ月程度は鍛え直すだろうと思っていたんだけどな」

「たしかにあの辺から勝てなくなりましたね」

「選手の中に、ちょっとシラケたムードが蔓延したんじゃないかな」

「そんな感じの負けっぷりですよね」

「美談に見えたこの話の裏に、原さんの利己心があった。それを選手は見透かしてしまったんじゃないだろうか?」

「我々も気をつけないと、そういう利己心って、意外と簡単に見抜かれますよね」

「見てないようで見てるからな。特に、お前のとこの雑賀とか、ウチの石崎なんてあざといぞ!!」

「気をつけます! でも、中田選手には頑張ってほしいな」

「俺もキャラの立った面白い選手だと思うし、来年こそはしっかりと巨人の一員になって欲しいと願っているよ」


ひとりごと

うまく部下を騙せていると思っても、部下はちゃんと見ているものです。

人の上に立つ人は、利己心をなるべく抑え込んで、利他の心でビジネスをすべきです。

情けは人の為ならず、であって、利他の心こそが、己を利してくれるのですから!!


harakantoku