今日のことば

原文】
狂を病む人は、言語序無し。則ち言語に序無き者は、其の病狂を去るや遠からず。〔『言志録』第188条〕

【意訳】
気が狂っている人は、言葉に順序がない。つまり言葉に順序が無い人は、気が狂っていると見られても仕方がない。

【一日一斎物語的解釈】
精神的にパニックに陥っている人は言葉が支離滅裂になる。逆に言えば、言葉が支離滅裂な人は通常の精神状態にはないということである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、善久君と面談中のようです。

「お前は嘘がつけない男だな(笑)」

「え?」

「正直に言えば良いじゃないか。彼女とデートなんだろ?」

「あ、いえ、あの、はい」

「ははは。ザ・しどろもどろか!!」

「でも、重要な会議なのに、休みを取るというのはマズいですよね?」

「お前にとっては会議と彼女とどっちが大事だ?」

「え、それは簡単には選べないですねぇ……」

「じゃあ、会議に出ろ。その日の休みは認めない!」

「えー、困りますぅ」

「どっちなんだよ!!」

「彼女です! ちょうどその日が彼女の誕生日なんです。結婚を考えているので、どうしてもその日に会いたいんです」

「お、プロポーズするのか?」

「いえ、まだですけど、でも大事な日なんです!」

「仕方ねぇな。どうしてもその日じゃないと、O社さんと俺の日程が合わないんだ。会議の日程は変えられないから、今回は欠席を認めよう」

「ありがとうございます!」

「そのかわり、ビシッと決めろよ! 初めて合体する日なんだろ?」

「やめてください、課長」

「お前、顔が真っ赤じゃないか。下戸の奴が無理やり飲まされたときくらい赤いな(笑)」

「課長がいきなり合体とか言うから……」

「お前は、心が動揺すると顔に出るし、言葉も支離滅裂になるから、すぐにバレるんだよ。もう少し平静を装えるように心を鍛えた方がいいんじゃないか?」

「はい、それは私の課題です」

「そうじゃないとこの先も苦労するぞ」

「そうですね」

「だいたい、そんな状態で結婚したら、ぜったいカミさんに嘘がつけないじゃないか」

「え?」

「カミさんに仕事だと言いつつ、実は休んで彼女とデートなんてときに、絶対バレるぞ!」

「課長、そんなことをしているんですか?」

「え、あ、俺の話じゃないぞ。その、そういう話ってよくあるじゃないか。そう思いませんか?」

「課長、言葉が支離滅裂ですけど!!」


ひとりごと 

この章句を読んで、いわゆるクレーマーといわれるお客様と接する際の事を思い出します。

クレーマーは、製品の不良や営業マンのミスに付け込み、なんとか大きな代償を得ようとします。

しかし、言っていることは、かなり支離滅裂であることが多いものです。

クレーマーに接する際には、毅然とした態度で、相手の言葉の矛盾を突くしかありません。

そのためには、こちらは同様せずに、冷静沈着に対応する必要があるのです。


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