今日のことば

原文】
吾れ静夜独り思うに、吾が軀(み)の一毛・一髪・一喘・一息、皆父母なり。一視・一聴・一寝・一食、皆父母なり。既に吾が軀の父母たるを知り、又我が子の吾が軀たるを知れば、則ち推して之を上(のぼ)せば、祖・曾・高も我れに非ざること無きなり。逓して之を下せば、孫・曾・玄も我に非ざること無きなり。聖人は九族を親しむ。其の念頭に起る処、蓋し此に在り。〔『言志録』第212条〕

【意訳】
私は独り静かな夜に考えてみるのだが、自分の毛髪も呼吸も皆父母のものであり、視たり聴いたり寝たり食べたりすることもやはり父母のものなのだ。我が身が父母のものであり、また我が子の身体も我が身であるとわかれば、さらに想像するに、祖父も曾祖父も高祖父も私自身であり、孫も曾孫も玄孫も皆私自身なのだ。聖人は九族に親しむという。聖人が想起しているのは、こういうことであろう。

【一日一斎物語的解釈】
自分のこの身体について独り静かに考えてみると、わが身というのは先祖から脈々と受け継がれてきたものであり、またわが子から子孫へと脈々と受け継がれていくものであることがわかる。同様に、自分が勤める(あるいは経営している)会社も先人の努力によって今があり、我々の努力によって後輩へと引き継がれていく。ご先祖を敬う気持ちをもって先人達への敬意を表すことも忘れてはいけない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の石崎君と居室で会話をしているようです。

「今日、M社の森さんと話をしたんですけど、とんでもないクレーマーに引っかかって大変だったらしんです」

「へぇー、面白そうな話だな」

「明らかに使用中のミスで故障した器械なのに、初めから壊れていたから修理代は払わないの一点張りなんだそうです。おまけに代替品も返してくれないらしいんですよ」

「面倒なのに捕まったな(笑)」

「今月だけで、森さんの担当施設で理不尽なクレームを訴えてきた案件が3つもあったんだそうです」

「森君、お祓いに行った方が良いんじゃないの?」

「私もそう言いました。でも、ふと考えて見ると、ウチのお客様って、そういうお客様が少ないですよね」

「良いところに気付いたな」

「え?」

「我が社の先人たちが、常にお客様の課題解決を優先し、自社の利益を後回しにするという考え方をしっかりと実践してきてくれたお陰なんだよ」

「あぁ、そうかも知れませんね」

「それに比べると、M社はこれまでけっこう強引な商売をしてきたからな」

「そういうツケが後輩の森さんに回ってきているんですね」

「諸先輩が気づいてきたお客様との信頼関係を、今度はお前がしっかりと後輩につなげていく義務があるんだぞ」

「はい、身が引き締まります!」

「だいたい、もう少し俺に対しても敬意を抱いて欲しいもんだよ」

「なんで課長を尊敬しなきゃいけないんですか?」

「なんでって、上司なんだから尊敬して当然だろう。父母即恩という言葉がある。自分の父や母は、ただ父や母であるというだけでありがたいものだ、という意味の言葉だ」

「・・・」

「それと同じように、上司即敬だろ! 上司は上司だというだけで尊敬に値するんだよ! 第一、俺だってお前の先人の一人なんだからな」

「それを言うなら、課長ももっと後輩や部下に敬意をもって頂かないと!」

「なんで俺がお前を敬わないといけないんだよ?」

「上司即敬なら、部下即恩じゃないですかね。私達だって好きで神坂課長の下にいる訳じゃないんですから!」

「なるほど。以後気をつけます…」


ひとりごと 

今、皆さんの勤務先があるのは、先人たちの血と汗と努力の賜物なのではないでしょうか?

今の会社は先人が作ったものであり、我々はその恩恵を受けているに過ぎません。

そのことに感謝をし、次の世代へとしっかりご恩送りをしていく必要があります。

そうしなければ、後輩たちは負の遺産を背負わされることになってしまうのです。


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