今日のことば
【原文】
自彊不息の時候、心地光光明明なり。何の妄念遊思か有らん。何の嬰累罣想(えいるいけいそう)か有らん。〔『言志後録』第3章〕
【意訳】
人が自ら休まず勉め励んでいる時には、その心は明るく光り輝いている。どこにもみだらな思いや遊びたいという思いなどはありはしない。また心に引っ掛かるような患い事や悩み事などもありはしない。
【一日一斎物語的解釈】
仕事に没頭しているときは、心は明るく、余計なことはまったく考えていない。また、うまく行くかどうかと悩むこともない。こうした境地で仕事ができることが望ましい。
今日のストーリー
「梅ちゃん、すげぇけな。また、商談決まったの?」
「年末のこの時期に受注するなんて、奇跡だね!」
営業2課の石崎君と善久君が、商談を決めてきた梅田君を称えています。
「梅田、まるでゾーンに入ってる感じだな」
神坂課長も嬉しそうに梅田君に話しかけています。
「はい、正直に言って今は休みたくない心境です。せっかく仕事が乗ってきたのに、ここで休みになったら、運気が変わってしまうんじゃないかと思って心配です」
「ははは。気持ちは分かるが、休める時は休んだ方がいいぞ」
「はい」
「本当に仕事に没頭している時というのは、疲れを感じないし、余計なことも考えないんだよな。だから、良い運気が溢れ出て、それがお客様にも伝わるんだろう。俺もそう何回もないけど、異常なほど商談が集中した経験があるよ」
「羨ましいな。私はまだ、そんな経験はないです」
「ゼンちゃん、俺もだよ。梅ちゃんに先を越されちゃったな」
「私は今まで、石崎さんや善久さんのように結果が出なくてずっと悩んでいたんです。でも、焦ってばかりいても仕方ないと思って、とにかく目の前の商談に集中することにしたんです」
「そうしたら、ゾーンに入ったの?」
「神坂課長にお客様に『そこまでやるのか』って言われるくらい、プラスアルファの仕事をしてみろ、と言われたので、徹底的にやってみたんです。そうしたら、受注できました」
「さすが、有能な上司は違うな!」
「課長、それ自分で言いますか?(笑)」
「だって、誰も言ってくれないからさ!」
「私が言おうと思ったら、先に課長が言っちゃったんですよ!」
「なんだよ、石崎。もっと早く言ってよ!」
「あの~、もっと私のことを誉めてくれませんか…」
「本当だな。とにかく梅田、来年もその調子で頑張れ! 石崎、善久も梅田に追い越されない様にな!」
「はい!!」
「よし、明日からは休みだ。さっと納会をしたら、今日は早く帰ろう!!」
ひとりごと
スポーツなどではよく、「ゾーンに入る」と言います。
しかし、これはスポーツに限ったことではなく、営業の世界でも時々あります。
ちょうど小生の部署の3年目の若手がいまゾーンに入っています。
最初は頼りなかった新人君でしたが、3年間毎週面談を続けてきた成果もあるのでしょう。
今は、目も輝いて自信に満ち溢れています。
きっとまた彼には試練も訪れるでしょうが、今は温かく見守るつもりです。