今日のことば
【原文】
宇は是れ対待の易にして、宙は是れ流行の易なり。宇宙は我が心に外ならず。〔『言志後録』第20章〕
【意訳】
宇とは処(ところ)によって変化して各々その宜しきを得ることをさし、宙とは時によって変化して各々その宜しきを得ることを指す。結局宇宙はわが心の中にあるのだ
【一日一斎物語的解釈】
宇とは無限の空間を指し、宙とは無限の時間を指す。空間における出来事も、時間の流れの中で起きる出来事も、すべてはそれを捉える自己があってこそ認識されるのであるから、宇宙はそのまま自分の心の内にあるといえる。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、営業部の佐藤部長と同行しているようです。
「宇宙って、いまも大きくなり続けているらしいですね?」
「うん、宇宙は科学者の予測をはるかに上回るスピードで膨張していて、その理由すら説明できないらしいよ」
「私にはどういうことかさっぱりわかりません」
「私も科学の分野は詳しくないよ」
「だいたい、宇宙は膨張していると言いますけど、宇宙には外側はないんですよね?」
「ははは、そうだね。宇宙という無限の空間そのものが膨張しているからね」
「そこが理解できないんですよね。風船が膨らむときには、膨らむだけの空間があるから膨らむので、もし空間がなければ風船はその空間以上には膨らむことはできないはずですよね。うーん、わからない!」
「われわれにはいくら考えても分からない世界かもね!」
「これを考え出すと、モヤモヤして、なんとも言えない気分になります!」
「ははは。そうだ、でもその宇宙について、一斎先生はこう言っているね」
「教えてください」
「宇宙は我が心に外ならず」
「え、どういうことですか?」
「宇とは無限の空間を指し、宙とは無限の時間を指す。しかし、それほど無限で広大な宇宙にも負けないのが人間の心だ、という意味だと理解しているんだけどね」
「たしかに、人間の心というのも不思議です。こうやって、いろいろな感情が湧き出て来るのに、死んでしまえば跡形もなく消えてしまいます」
「脳や心臓という臓器は残っても、気持ちや思考はすべてなくなってしまうものね。不思議だよね」
「あー、それを考えると、益々モヤモヤします!!」
「あんまりモヤモヤして、ハンドル操作を誤られても困るから、この話題はこれくらいにしようか?」
「そうしてください。運転に集中できません!」
「それは大変だ。しっかり運転に集中してよね!」
ひとりごと
この章句の一斎先生の意図するところは、小生には不承知です。
しかし、宇宙の謎と同じくらい、人間の心も謎が多いのではないでしょうか?
朱子は宇宙の理は、人間に性となって宿されているとしています。
この性即理の概念もまた難解です。
学び続けていきます!