今日のことば

原文】
君子も亦利害を説く。利害は義理に本づく。小人も亦義理を説く。義理は利害に由る。〔『言志後録』第23章〕

【意訳】
立派な人も利害を説く。ただしその利害は義(正しい道)に基づいている。小人も義について語るが、その義よりも己の利が優先される

【一日一斎物語的解釈
一流の営業人も義に基づいた利(正しい商売をした結果としての利益)については語る。しかし売れない営業マンは自分の利益のために義を語る。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の会議を主催しているようです。

「たしかにCOVID-19の影響で医療機器の購買意欲が停滞している。だけど、こういうときこそ、先義後利だぞ」

「『先義後利ってどういうことですか?」

「梅田、それは前にも説明したはずだぞ!」

「もう一回お願いします」

「ちっ、しょうがないな。自分たちが儲けようと思うな、ということだ」

「あー、自分たちの利益より、お客様の利益を優先しろ、という意味ですね?」

「うーん、70点だな」

「合格ですか?」

「俺の合格は80点から」

「じゃあ、失格じゃないですか!」

「お客様の利益に貢献するのは、大事なことだ。しかし、そこで道を踏み外しては駄目だ」

「賄賂とかですか?」

「そうだよ。誰に見られても恥ずかしくない商売をした上で、お客様が儲けて頂くなら何の問題もない」

「それが『義』なんですか?」

「そう、正しい商売、正しい売り方。それが『義』だ」

「正しい商売をしたときは、私たちも儲けていいんですよね?」

「それはそうさ。あくまでもお客様のお役に立った結果として我々も儲けることができるなら、それが理想だし、一流の営業人だ」

「ということは、自分たちの利益を優先するのは三流の営業マンということですね?」

「そのとおり!」

「三流にはなりたくないです! しっかり義のある商売をします!!」

「もうこれで、『先義後利』を忘れることはないな!!」


ひとりごと 

お客様と長期的な関係を構築したいなら、短期的な利益を目指さないことです。

信用ではなく、信頼を得るには、むしろ最初に少し損をする必要があるのかも知れません。

信用には担保がありますが、信頼は無担保です。

無担保でお金を支払ってくれる関係づくりが、そんなに簡単なはずはないですよね?


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