今日のことば

原文】
申申夭(しんしんようよう)の気象は、収斂の熟する時、自ら能く是(かく)の如きか。〔『言志後録』第32章〕

【訳文】
のびのびして、にこやかな気分は、精神の修養が十分に習熟した時にこそ、自然にそのようになれるものだろうか。

【一日一斎物語的解釈】
のびのびとにこやかに寛いだ気分というのは、修養によって精神が成熟してくると、自然と到達する境地なのであろう。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、勉強会仲間のフミさんこと松本さんと一杯やっているようです。

「オミクロンが爆発的に増えてきたので、今日はどうしようかと迷いました」

「高齢者にうつしたら大変だから?」

「ぶっちゃけ、そうです。でも、フミさんからやめようという連絡がなかったので、強行しました(笑)」

「ワシも久しぶりにゴッドと飲みたかったからね」

「私もです。フミさんの笑顔をみると何故だがとても安心するんですよね」

「仏の笑顔ってやつかな?」

「そうそう、仏像の笑顔に近いかも!」

「ワシはね。先が見えないコロナ禍で多くの若い人が自ら命を絶ったいうニュースが後を絶たないことが悲しくて仕方ないんだよね」

「やまない雨はない、ということに気づいて欲しいですよね」

「うん。この歳まで生きて来るとね、すべてのことが有難く思えるんだよ。生きることは楽なことではないよ。でもね、生きてさえいれば、嬉しい出来事もたくさん経験できるんだ」

「私はバカですから、死のうなんて思ったことはほとんどないんですよ。最近の若い人はみんな賢過ぎるんじゃないかな」

「それはそうかも! ワシなんて、バカの王様だからね!」

「じゃあ、フミさんのことをキングって呼ばせてもらおうかな?」

「ゴッドとキングか、それは面白い!」

「やっぱりフミさんの笑顔をみていると、幸せな気分になるなぁ。きっとその笑顔が神々しいのは、たくさんの辛い経験を乗り越えた先にたどりついた笑顔だからなんでしょうね」

「自分ではわからないけど、そう言ってもらえると嬉しいな」

「やっぱり修養を重ねてきた人の精神というのは、常に安定しているんでしょうね。それが、ゆったりとした雰囲気を作り出すんだろうな」

「知らず知らずのうちに、仕事で陶冶されたのかもね?」

「間違いないですよ。なにも本からだけしか学べないわけじゃない。実践から学ぶことも人生における醍醐味のひとつなんですよ、きっと!」

「ゴッドもこれから先、辛いことや苦しいことがあるだろうけど、乗り越えるんだよ!」

「はい。そして、私もいつの日かフミさんと同じようにゆったりとした精神状態で、人を幸せにする笑顔を振りまけるような存在になりますよ!」

「頼もしいね!!」


ひとりごと 

孔子は、七十にして自分の心のままに行動しても、世の中の規範から外れることがなくなった、と言っています。

このストーリーに登場するフミさんのモデルになった、小生の人生の大先輩も、七十代になって、何をしても道から外れるようなことはなくなった、と語っています。

その方の笑顔は、本当に神々しいのです。

修養によって磨かれた精神が作り出すゆったりとした雰囲気と笑顔は、周囲の人たちまで幸せにしてくれます。

小生もそんなお爺ちゃんになりたい。いや、なるために、精神を磨いていく所存です!!


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