今日のことば

【原文】
草木の気質には、清・濁、軽・重、寒・温、堅・脆、酸・甘、辛・苦、諸毒の同じからざる有り。医書は之を性と謂う。即ち皆土気なり。人の気質も亦然り。然れども其の同じく生生の理を具うるは則ち一なり。〔『言志後録』第154章〕

【意訳】
草木の気質には、清と濁、軽と重、寒と温、堅と脆、酸と甘、辛と苦などその毒性が同じでないものがある。医学書では、これらを草木の性であるという。これはみな土気である。人間の気質も同じであって、みな生々発展の道理を具えている点では草木と同一である

【一日一斎物語的解釈
草木には、様々な性質をもった種があるように、人間も千差万別である。したがって、マネジャーは各自の長所を伸ばすようなマネジメントを心掛けるべきである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長とランチ中のようです。

「人の性格って、生まれながらに大体決まっているんですかね?」

「そうだと思うよ。もちろん、生きていく中で少しずつ変わっていくこともあるだろうけどさ」

「神坂さんは生まれつきノー天気だったんですか?」

「やかましいわ! 俺のどこがノー天気だって言うんだよ」

「人間って、意外と自分のことをが見えていないんですよね」

「そういうお前は、生まれつき人が嫌がることを言う性格だったのか?」

「俺を嫌味大王みたいに言わないでくださいよ!」

「俺だけじゃなく、みんな言ってるぞ」

「マジですか?!」

「人は自分のことが見えていないんだな」

「まぁ、そうやっていろいろな性格の人間が集まるから、組織はうまく回るのかも知れないですね」

「そうなんだろうな。みんな大累みたいな性格だったら、喧嘩が絶えなくて、組織がまとまる訳がないもんな」

「そうですよ。みんな神坂さんだったら、無謀なチャレンジをして、とっくに会社は潰れているでしょうからね」

「うまくできているな、人間って」

「人間だけじゃなく、動物の食物連鎖も植物の光合成もすべてがまったく無駄がなく作られているんですよね。そう考えると、不思議ですよね」

「一体、誰が、もしくはどんな力がこの世界を作り、支配しているんだろう?」

「絶対に人間ではないですもんね」

「うん。人間も所詮、その見えない力に生かされている存在に過ぎないんだろうな」

「だからこそ、お互いの良い所を見つけて、尊重し合うことが大事なんですね」

「そう、それが美点凝視! マネージャーとして常に意識すべきはこれに尽きるんだよな」


ひとりごと

人間の性格は千差万別、だからこそ多角的な視点で物事を捉えることができるのではないでしょうか。

見方を変えれば、周囲の人は、自分にないものを持っているのです。

だからこそ、お互いに相手の長所に目を向け、お互いを補完し合う関係を築いていくべきなのです。

美点凝視のマネジメントこそ、宇宙の摂理に適った手法なのでしょう。


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