今日のことば
【原文】
唐代の三患は、外寇と為し、藩鎮と為し、宦官と為す。人主も知らざるに非ざれども、然も終に此を以て斃る。宰輔(さいほ)の其の人に非ざりしを以てなり。鑑む可きの至なり。〔『言志後録』第167章〕
【意訳】
中国の唐王朝の三つの患いは、外国の侵攻、節度使、宦官である。君主もこれを知らなかったわけではないが、結局はこれらが原因となって滅亡してしまった。宰相に人物を得ることができなかったことがその要因といえよう。悪しきお手本としてよく照らし観るべきである。
【一日一斎物語的解釈】
国が亡ぶときの主要因は、ブレインとなるべき人材を得ることができないことにある。企業においても同様に、有能な参謀を得ることができるかどうかが企業存続の鍵となる。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、新美課長と雑談中のようです。
「そういえば、お前に言われて大河ドラマを見てみた」
「どうでした?」
「面白い。一介の浪人だった源頼朝がなぜ天下を取れたのか、そしてなぜ源氏の政権が短命だったのか、その辺りがよく理解できるな」
「『吾妻鏡』という歴史書をベースに書かれているので、基本的には史実に即しているはずなんですが、ところどころに三谷幸喜ならではの解釈が散りばめられているんですよね」
「今回で大河の脚本は三回目らしいな」
「はい。『新選組!』、『真田丸』に続いて三作目で、集大成だと言っているようです」
「随所に笑えるところがあるのも、三谷作品っぽいな」
「でしょう? 実際にはドロドロの人間関係のドラマなのに、コントのような笑いがあって、重くなり過ぎない。あの辺は絶妙ですよ」
「それにしても頼朝は、自分に身近な人間を粛清し過ぎだよな」
「孤独な将軍ゆえに、人を心から信頼できないんでしょうね」
「義経、そして次は範頼も粛清するんだろ? そうやって本来は味方につけておくべき一族を消し去ってしまったことが、源氏政権が短命に終わった最大の要因なんだろうな」
「強いて言えば北条義時が参謀ということなんでしょうけどね」
「義時にしても、心から頼朝に忠義を尽くそうとは思っていないじゃないか? 自分もいつ粛清されるかわからないからな」
「有能な参謀に全幅の信頼をおくことができないかぎり、国も会社も長く存続させることは難しいんだろうな。そんなことを思いながら、楽しく見たよ」
「ハマりそうですか?」
「既にハマった。手っ取り早く漫画の『吾妻鏡』を買って、予習を始めたよ(笑)」
「よかった。これで大河を見終わった翌日に語り合える仲間が増えました!」
「他に誰がいるんだ?」
「西村部長です」
「あー、あのおっさんは雑学の鬼で、歴史も詳しいもんな」
「今度、3人で飲みながら語り合いましょうよ」
「いいね、歴史を肴に旨い酒を飲みたいね!」
ひとりごと