今日のことば

【原文】
凡そ事を処するには、須らく平平穏穏なるを要すべし。人の視聴を駭(おどろ)かすに至れば、則ち事は善(よし)と雖も、或いは小過に傷つく。〔『言志後録』第170章〕

【意訳】
おおむね物事を処理する際には、すべて平穏に処するべきである。人々の耳目を驚かすようなことをすれば、その事自体は良くても、結果的に小さな誤りを招いて自らを傷つけることになる

【一日一斎物語的解釈
仕事を処理する際は、奇をてらわず、シンプルに事を処すべきである。自分の個性を出そうとして無理に何かを変えようとすると、思わぬ結果を招く恐れもある。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、N大学医学部附属病院の倉庫脇にある休憩室でY社の菊池さんと雑談中のようです。

「部下の査定って難しいですよね?」

「菊池君の会社は大企業だからなぁ。菊地君の部下は何人いるの?」

「9人です」

「多いねぇ。俺は5人だからな」

「なるべくメリハリをつけた評価をしようと思っているんですけど、神坂さんはどう思いますか?」

「評価はある意味、その人の人生に関わることでもあるからねぇ。あまり大胆な査定はしないように意識しているよ」

「意外ですね。神坂さんなら厳しく付けているのかと思いました」

「どちらかというと甘めじゃないかな。なるべくメンバーの個性を伸ばそうと考えているから、いつも良い所だけを見るように意識しているんだよね。そうなると、査定のときもどうしても甘めの評価になりがちなんだよな」

「たしかにそうですね。部下の欠点にばかり目を向けていると、厳しく評価をつけがちになります。どちらが良いんですかねぇ」

「本当に改善すべき点があれば指摘すべきだし、成績が極端に悪い場合は低い評価を付けざるを得ないけど、そうでなければ少し甘めで良いんじゃないかな。どうせ人間がやることだしね」

「それだと、やってもやらなくても一緒だと思われませんかね?」

「そこは難しいんだけど、努力すれば評価してもらえるという意識に持っていきたいよな」

「なるほど」

「評価を厳しくして、部下が不信感を持つようになる方が宜しくないでしょ? だから、評価については、あまり奇を衒わず、シンプルに美点凝視で評価するのが一番だと、俺は思っているよ」

「そうですよねぇ。上司に低い評価を付けられると、やっぱり腹が立ちますからね。そうなると、極端な成果主義で処理しない方がよさそうですね?」

「菊池君の覚悟次第だけどね。俺は、情けないけど、そこの覚悟は弱いかもな」

「頑張っている奴は高く評価したいし、怠けている奴は厳しくしたい。そこを意識しながら、モチベーションを下げ過ぎない工夫が必要なんですね。勉強になりました!」

「俺もちょっと反省したよ。もう少し成果主義で評価すべきかもなぁ」

「神坂さんの覚悟次第ですよ!」

「ははは、これは一本取られたな!」


ひとりごと

何事も、あまり奇を衒わず、シンプルに処理せよ、と一斎先生は教えてくれます。

新前マネージャーは自分の個性を出したくて、時に、人の目を引くようなことをやりたいと想いがちです。

しかし、そういう意識でやったことは、成果が出ても、何かと問題の火種にもなります。

自分のためにやるのではなく、本当に会社のため、部下のために必要なら、断固としてやるべきでしょう。

しかし、全体的には、一斎先生の言うように、平平穏穏が良いのかも知れません。


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