今日のことば

【原文】
王政は只だ是れ平穏のみ。平天下の平の字味わう可し。〔『言志後録』第171章〕

【意訳】
徳をもって治める王道政治はただ平穏であることに努めるのみである。天下を平らかにするという「平」という字をよく味わうべきである

【一日一斎物語的解釈
マネジメントは、リーダーの徳を主体として治め、平穏であることが好ましい。頻繁に大きな出来事が起こるような企業や組織は安泰とはいえない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、佐藤部長の部屋に居るようです。

「『大学』にある『平天下』という言葉は、いつの時代にも実現の難しいことなんですね」

「うん。世の中を平らかにする、というのは人類の究極の夢であり、希望なんだろう。しかし、これほど実現の難しいことはないかも知れないね」

「孔子の時代から2500年が経過した今でさえ、ロシアとウクライナの戦争があり、北朝鮮はミサイルを討ち続けています」

「武力紛争だけじゃないよ。経済戦争も激しいでしょ?」

「あぁ、なるほど。アメリカと中国の派遣争いも激化していますね」

「うん。どうしても人間にはエゴがある。地球上のすべての人が利他を思うようになる日が来るのだろうか?」

「難しいでしょうね。もちろんこれは政治家の課題でしょうけど、国民ひとり一人が考えないといけませんねぇ」

「『一燈照隅、万燈照国という言葉があるよね。我々一人ひとりが照らすことができる範囲は小さくても、皆が照らせば国全体を明るく照らすことができる、という意味の言葉だね」

「なるほど、まずはそれをすべきと思った人間が率先するしかないんですね。いつか、その明かりが国中、世界中を照らす日が来ると信じて!」

「まずは家庭、そして会社の中で利他の心を拡げていこう」

「そうですね。社内においては、やはりお客様のお役に立つことを最優先するということでしょうか?」

「それが、我々の存在意義でもあるからね」

「はい」

「ただし、我が社の社是は『真善美』。真実・善事を美しく行うことを忘れないようにね!」

「美しく行う、ですか? これもまた大変ですねぇ」

「美しさとは、綺麗さではない。愚直にやり続けることだと思う。一所懸命に働く人の汗は美しいでしょ?」

「あぁ、そういうことなんですね。しかし、家庭と職場を治めるためにはまず…」

「『修身・斉家・治国・平天下』、つまり修身ということになるね」

「やはりそこに行きつくんですよね。なんだか最近、読書や勉強がマンネリ化していたんですけど、ひと皮剥いてみると、また新鮮な世界が見えてくるものですね」

「時にはそうやって、自分の想いや行動をリニューアルしていく必要があるよね」

「よし、今日からまた生まれ変わって精進するぞ!!」


ひとりごと

儒学は古い、時代遅れという人がいます。

しかし、『修身・斉家・治国・平天下』が間違っていると断言できますか?

世界平和実現の要諦は、すべてこの言葉にあると、小生は強く信じています。

だからこそ、修身に取り組むのです!


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