今日のことば

【原文】
師厳にして道尊し。師たる者宜しく自ら体察すべし。「如何なるか是れ師の厳、如何なるか是れ道の尊き」と。〔『言志後録』第174章〕

【意訳】
『礼記』に「人の師たる者は尊厳さが備わってはじめてその道が尊いものになる」とある。人の師たる者は、「師としての尊厳さとはいかなるものか、師の道の尊さとはいかなるものか」と、これを自ら体験し察するべきである。

【一日一斎物語的解釈
師たる者は、尊厳とは何か、道の尊さとはどのようなことかを常に追い求めねばならない。厳しさがあってこそ、その進む道も尊いものになるのだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、A県立がんセンター消化器内科の多田先生を訪ねているようです。

「神坂、まだパワハラで訴えられていないのか?」

「やめてくださいよ! そういうキャラを変えようともがいているんですから。それより先生の方こそ大丈夫なんですか?」

「俺はお前たち業者にはパワハラをするが、看護師や患者には優しいから大丈夫だ」

「本当ですか? 信じられないなぁ」

「しかし、今の時代はやりにくくなったな。医者の世界でもあちこちでパワハラ訴訟が発生しているらしい」

「はい。私も二・三耳にしています」

「人の命を預かる俺たちの仕事は、そう生易しい気持ちでは全うできるわけがないんだよ。時には厳しく叱りつけなければ、事の重大さに気づけやしないんだ」

「わかります。ひとつのミスが命とりになる世界ですもんね」

「そしてたった一回でも、ミスをして患者を死なせてしまえば、訴訟になるんだ。厳しく指導せざるを得ないんだよ」

「医療事故を起したら、医師としての生命が終わってしまうんですよね?」

「そのことを若い連中はわかっていないんだ。厳しい指導があってこそ、崇高な医の道は開けていくんだよ」

「先生も若い頃は、厳しく指導されたんですか?」

「長谷川のおっさんなんて、すぐに手が出るからな。俺も何度頭を叩かれたかわからないよ」

「毎回その話を聞くんですけど、信じられないです。長谷川先生が手を出すなんて!」

「手だけじゃないぞ。モノが飛んできたこともある」

「まるで別人ですね!」

「しかし、真剣な眼差しで見つめられると、ありがたい気持になったもんだ。俺のために本気で叱ってくれていることがわかったからな」

「多田先生がミスをして医師としての才能を発揮できなければ、それは自分の責任だと思っていたんでしょうね」

「そうだろうな。しかし今は違う。どれだけこっちが真剣であっても、受け取る側がそうは取らない」

「はい」

「このままじゃ日本の医療は衰退するぞ。現に今や論文の数では、中国や韓国に圧倒的に差を付けられているんだからな」

「やはり、厳しさは大事ですね。私もチーム皆で営業の道を究めていくためにも、メンバーに厳しさをもって接していきます!!」

「でも、殴るなよ!」


ひとりごと

師が厳しさをもって接するからこそ、弟子は崇高な道を進んで行けるのかも知れません。

とはいえ、今はとても難しい時代です。

ややもすると弱者に力を与えすぎているのではないか? と思えてしまいます。

パワハラだと決めつける前に、その人がどれだけ真剣に自分に接してくれているかを見極めてみるべきではないでしょうか?


medical_syujutsu_denkimesu