今日のことば

【原文】
実言は芻蕘(すうじょう)の陋(ろう)と雖も、以て物を動かすに足る。虚言は能弁の士と雖も、人を感ずるに足らず。〔『言志後録』第77章〕

【意訳】
真実の言葉というものは、それが草刈り人や木こりなどの卑賎な身分の人の言葉であったとしても、よく人の心を動かすものである。いつわりの言葉というものは、それが弁舌の巧みな人の言葉であったとしても、人を動かすことはできないものだ

【一日一斎物語的解釈】
「何を言うかより誰が言うか」だと言われるが、真実の言葉は相手の心に届き、偽りの言葉は届かないものだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、石崎君の愚痴を聞いているようです。

「価格は高くても性能は絶対にこっちの方が良いので、先生にはおススメだと言ったのに、まったく信用してくれないんです」

「お前としては、その製品を使う方が先生のメリットは大きいと考えているんだな?」

「もちろんです!」

「高い方が儲かるからじゃないんだな?」

「新村先生は、まだ45歳です。これからも長いお付き合いをしていく先生ですから、短期的な儲けなんて考えていないですよ!」

「そういう想いは全部伝えたんだな?」

「はい。ちょっと最後は熱くなり過ぎたかも知れませんけど…」

「ははは。そのくらいの方が伝わるはずだよ」

「結局、何を言うかよりも、誰が言うかが大事なんでしょうね。私みたいな若造だと、自分の儲けしか考えていないと思われているんです」

「そうかも知れない。でも、お前がそこまで先生のこと、ご施設のことを思って提案したなら、必ず伝わるはずだと俺は信じたい」

「そうでしょうか? 考えさせてと言った時の先生の顔は不信感が強く出ていた気がします」

そのときちょうど石崎君に電話が掛ってきたようです。

「あ、新村先生です。出てもいいですか?」

「もちろん」

「え、本当ですか?! はい、ありがとうございます。はい、納期は1週間あれば大丈夫です」

神坂課長は石崎君を見つめて、小さくうなずいています。

「先生、ひとつお聴きしてもいいですか? ありがとうございます。先生は、私の説明を聞いているとき、すごく不信感を懐いているように私には感じました。だから、注文をいただいて驚いているんです。なにが一番大きな決定要因なのでしょうか?」

先生が回答しているようです。

「はい。あー、そうだったんですか! はい、嬉しいです。これからもしっかり頑張ります!! 納期は明日メールで連絡します。はい、失礼します。ありがとうございました!!」

電話が終わりました。

「先生の不満顔の原因はなんだった?」

「私の提案に比べて、今までお付き合いしてきたM社の提案があまりにも自分本位だとわかってきて、頭に来ていたそうです。私の提案は、素晴らしい提案だったと誉めてくれました!!」

「やっぱり、真剣な想いは伝わるんだな」

「はい! すぐに今からメーカーさんに発注します」

急いで席を立った石崎君の背中を神坂課長は嬉しそうに見つめています。


ひとりごと

真摯な想いは伝わるはずです。

少なくとも小生はそう信じていますし、これまでの営業人生で、それは実証出来ている気がします。

しかし、もし少しでも自分が得をしたいと思えば、それもしっかりと伝わるものです。

営業の使命は、お客様の課題解決のお手伝いであり、良い提案ができた報酬として売り上げが立つのです。

それをもう一度肝に銘じて、私の組織のメンバーにも伝えていきます。


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