今日のことば

【原文】
人は当に自ら己の才性に短長有るを知るべし。〔『言志後録』第178章〕

【意訳】
人間は自分の才能や特性には必ず短所と長所があることを知っていないければならない

【一日一斎物語的解釈】
人には才能と性格の両面に長短があることを理解しておくべきだ。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、元気のない善久君に声をかけたようです。

「どうした、また悩んでいるのか?」

「課長、私の長所って何でしょうか?」

「なんだ、自分の長所を見失ったか?」

「はい」

「短所は思いつくのか?」

「短所ならたくさん見つかります」

「挙げてみろ」

「行動が遅いこと、ネガティブなこと、暗いこと、あとは…」

「もういいよ。そのくらいにしとけ! さて、そこでリフレーミングだ!」

「リフレーミングですか?」

「そう。今挙げた短所を違うとらえ方で見つめなおすんだ。たとえば、行動が遅いというのは、慎重だということだ。ネガティブだというのは、リスクを理解している証拠だ」

「なるほど、では暗いというのも、落ち着きがあると考えても良いんですね?」

「そういうことだよ。いいか、善久。人間の長所と短所は裏表なんだよ。自分で言うのもなんだが、俺の長所は陽気なところだ。しかし、それは見方を変えれば調子に乗りやすいという欠点にもなる」

「ということは、短所と長所は同じ数だけあるとも考えられるわけですね」

「そのとおり。そして、お前のように自分の短所を理解している奴の方が、俺みたいに長所しかわかってない奴よりは失敗は少ないだろう」

「なるほど」

「しかし、大成功も難しいかもな」

「そうですね。短所が分かっているなら、それをなるべく長所で捉えなおして、慎重になり過ぎたり、リスクが怖くて何もしないという心境にならないように注意すれば良いんですね?」

「そういうことだよ。今のは性格の話で、才能面でも長短はあるんだが、それはまたいつか話をしよう」

「ありがとうございます!」

それにしても俺の若い頃は、自分の長所にしか気づいていなかったな」

「その長所が実は周囲を困らせていたんですね?」

「誰がそんなこと言ってた?」

「大累課長と新美課長です」

「あいつら、人のいないところで陰口か。今から説教してくる」

「しまった! 言うなと言われていたのに、ついしゃべってしまいました!!」

「口の軽いのもお前の欠点だぞ!」

「すぐにキレて暴力をふるうのは、課長の欠点です! ここは、お互いに欠点に気づいたということで、水に流しましょう!」

「なんだか、うまくまとめやがったな! そういう機転の利くところは、お前の長所だな(笑)」


ひとりごと

どんな人にも長所と短所はあります。

そしてそれは、実は裏表の関係であることが多いのです。

短所を長所に変えるのも、長所を短所にしてしまうのも、自分次第だということでしょう。

実はこれは性格面の話で、才能面となると話は別ですが、それはまた別の機会に。


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