今日のことば

【原文】
一罪科を処するにも、亦智・仁・勇有り。公以て愛情を忘れ、識以て情偽を尽くし、断以て軽重を決す。識は智なり。公は仁なり。断は勇なり。〔『言志後録』第183章〕

【意訳】
ひとつの罪を処理するにも、智・仁・勇が必要である。公正な立場で愛憎を除き、見識をもって真偽を正し、強い意志をもって敬重を判断する。この場合、識が智・公が仁・断が勇に該当するといえよう

【一日一斎物語的解釈】
部下や後輩に対しては、儒学の三徳である知・仁・勇をバランスよく発揮すべきである。いずれかに偏っては、正しい人材育成は不可能となる。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、読書会に参加した後、フミさんこと松本元社長と食事をしているようです。

「フミさんは昔、瞬間湯沸かし器と呼ばれていたんですよね?」

「ザッツ・ライト! ティファールなんか相手にならないくらい一瞬で沸騰していたよ」

「いまはこんなににこやかなのに」

「もう現役じゃないからねぇ」

「フミさんは、社員さんを育成するとき、どんなポリシーをもってやられていたのですか?」

「なるべく公平に、見識を正し、勇気をもって断じる、これかな」

「へぇー、カッコいいなぁ」

「これをセゴドン(西郷さん)に言ったら、それはまさに知仁勇の儒教の三徳ですね、と言われてびっくりしちゃったよ」

「すごいじゃないですか。現役時代からそんなことを意識していたなんて!」

「ちがう、ちがう。偶然だよ。そのころは、知仁勇なんて言葉すら知らなかったんだから」

「がくっ。そういうことですか(笑)」

「結果的に、知仁勇の三つのバランスが取れていたから、離職率も少なく、人がよく育ってくれたのかなぁと思っているんだ」

「絶対にそうですよ」

「真理って結局そういうものなのかもね」

「はい。理論としては知らなくても、正しい行為というのは、正しい理論に合致しているものなんでしょうね」

「うん。でも、理論を知ることで、感覚的なことを言葉として伝えることができるようになる。だから、学ぶことは大事なんだね」

「はい。学びを実践する楽しさに目覚めた、今日この頃です」

「ゴッドが羨ましいよ。私はもう引退してしまったからねぇ」

「私はむしろ、引退しても学び続ける姿勢に刺激を受けますよ。それに、臨床宗教師としての道はこれからじゃないですか!!」

「オー、イエス! そうだった!! なるべく公平に、見識を正し、勇気をもって伝えることを、もう一度意識しないとね!


ひとりごと

部下や後輩の育成は、一筋縄ではいきません。

好悪の感情を捨てて公平な視点に立ち、正しい見識を活用して指導し、勇気を持ってやらせてみる。

この知仁勇のバランスをとることが、育成の秘訣なのだ、と一斎先生は言います。

つまりは、部下の成長はリーダーの姿勢と覚悟如何に懸かっているといっても過言ではないのでしょう。


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