今日のことば

【原文】
戯言(ぎげん)(も)と実事に非ず。然も意の伏する所、必ず戲謔(ぎぎゃく)中に露見して、揜(おお)う可からざる者有り。〔『言志後録』第185章〕

【意訳】
ざれごとは本来事実ではない。しかもそこに潜んでいる本音は必ず洒落や冗談を言う中に露見するもので、隠しきれるものではないのだ

【一日一斎物語的解釈】
本音というものは、言葉を発すれば必ず露呈する。自分では遠回しに言ったり、冗談ぽく言ったつもりでも、隠しきれるものではない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の石崎君をランチに誘ったようです。

「石崎、お前、さっき俺が説明した内容を全然納得していないだろう?」

「そんなことないですよ! 会社で決めたことなんですから、従うしかないです」

「ほら、本当は不満ですが、仕方なく従いますって言い方じゃないか」

「だって、毎回車に乗る前にアルコールチェッカーで数値を測るなんて面倒じゃないですか」

「面倒か面倒じゃないかというなら面倒に決まっている。でも、10月から法制化されるんだ。やらなければ、法律違反で会社が罰せられるんだぞ」

「お酒を飲んだら、車には乗りませんよ」

「俺だってそうだ。だけど、世の中には酒を飲んで車に乗って、人を殺める奴がいるんだ。性悪説に立てば、こういうやり方しかないんだろうな」

「性善説でできないんですかね?」

「それには徹底的な教育が必要になる。しかも時間もかかる。その間に人の命が失われることは見過ごせないだろ?」

「そうですね…」

「しかし、お前はわかりやすいな。言葉の端々に本音が出まくるからな」

「え、それは営業マンとしてもダメですね?」

「アウトだな。しかも、お前は顔にも出る。いや、顔や態度により鮮明に出る(笑)」

「完全にアウトじゃないですか!」

「まぁ、そういうものだよ。本音は隠そうと思っても隠せるものじゃない。茶化したり、オブラートに包んで言ったとしても、やっぱり伝わるものだよ」

「そうですね。課長も納得していないというのが、よくわかりましたから(笑)」

「そうだよな。俺もお前と話していて、この件には納得できていないのはバレバレだなと思っていた(笑)」

「ちゃんとやりますから、心配しないでください」

「最初から心配なんかしてないよ。お前はなんだかんだ言ったって、ちゃんとやる奴だからな」

「あ、そこもバレちゃってますか?」

「バレバレだよ(笑)」


ひとりごと

小生は酒が飲めません。

それなのに、10月からは一律にアルコールチェックが義務付けられます。

法律とは本来性悪性で作るものなのでしょう。

これを法治主義と言います。

しかし、酒を飲んだら乗らないということを徹底させることも考えていくべきではないでしょうか?

時間はかかりますが、教育によって、それを実現することもあきらめてはいけません。

それこそが、孔子が目指した徳治主義なのです。


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