今日のことば
【原文】
文儒は一概に武人俗吏を蔑視す。太(はなは)だ錯(あやま)りなり。老練の人の話頭は、往往予を起す。〔『言志後録』第213章〕
【意訳】
一般に学者と呼ばれる人は、武士や官吏を軽視するところがある。これは大いに誤りである。何事にも熟達した人の話は、往々にして自分を啓発するものである。
【一日一斎物語的解釈】
本部スタッフは、現場の人間を低くみる傾向があるが、それはよろしくない。現場でたたき上げた人の話には、大いに啓発されるところがあるはずだ。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、総務課の大竹課長と一杯やっているようです。
「神坂君、聞いた? Y社で大バトルがあったらしいよ」
「それは初耳です。誰が揉めたんですか?」
「それが総務と営業らしいんだ。個人間でなく部門同士の壮絶な罵り合いに発展したらしいよ」
「珍しいですね」
「Y社総務部の根上さんから聞いた話なんだけどね。提出物の件で営業側が締め切りを守らなかったので、総務がクレームを入れたら、『お前らは俺たちの稼ぎで食わせてやっているんだ。少しくらい納期が遅れたくらいで文句を言うな』と言われて、大揉めになったんだって!」
「ありがちな話ですね(笑) でもさ、タケさん。スタッフ部門って営業を小ばかにしているところがあるよね?」
「ウチはないでしょ! 商社は営業部門の人間が圧倒的に多いから、そうは思わないよ」
「ホントかなぁ? たしかにO社さんはメーカーさんだから、現場はいつも本部から顎で使われているって愚痴ってますけどね」
「それより、神坂君たちこそ、どうなのよ?」
「え? あー、俺たち営業が総務を食わせてやってるって?」
「うん」
「昔は思ってた(笑)」
「やっぱり!」
「でも今は違うよ。俺も課長になって、いろいろとマネジメントの資料を扱うようになったでしょ。それで、タケさんや鈴木(人事課で神坂課長の同期社員)の大変さもわかるようになったよ」
「我々はボス(西村部長)から、『営業の苦労を理解しろ』って常々言われてきたしね」
「西村さんのスタンスはありがたいです」
「お客様と直に接するのは営業さんだからね。そこは尊重しようと思っているよ」
「お互いに、相手の立場もしっかり考えて行動出来ているという意味では、当社は優良企業ですね(笑)」
「いや、実際そうだと思うよ。それに、社内で争うなんて、こんなバカなことはないよね」
「そうですよ。敵は外にいるんです。社内に敵を作っているようじゃ、本物の敵からみたら、これ幸いってことになりますよね」
「あー、よかった。ちょっと心配しちゃった」
「それで、俺をメシに誘ったの?」
「そういうわけじゃないよ。我々はそういう関係じゃないでしょ!!」
「ホントかなぁ??」
ひとりごと
どこの会社でも部門間の揉め事はあるものです。
営業と開発、開発と工場、総務と営業などなど。
特に営業部門というのは全体的に低くみられる傾向があるようです。
しかし、業種に貴賤はないように、職種にも貴賤はありません。
お互いが自部門の利益を考えつつも、他部門を尊重する姿勢が重要です。
敵は外にいるのですから!