今日のことば

【原文】
名は求む可からずと雖も、亦棄つ可からず。名を棄つれば斯に実を棄つ。故に悲類に交わりて以て名を壊(やぶ)る可からず。非分を犯して以て名を損す可からず。権豪(けんごう)に近づきて以て名を貶(おと)す可からず。貨財に黷(けが)されて以て名を汚(けが)す可からず。〔『言志後録』第220章〕

【意訳】
名誉というものは自ら求めるべきものではないが、さりとて敢えて棄てるべきものでもない。名誉を棄てれば実を棄てることになる。だから人の道に外れた人に近づいて名を台無しにしてはいけない。人の分際をこえた非道なことをして名を損じてはいけない。権力や財力のある人に近づいて名を貶めてはいけない。貨財を不正にむさぼって名を汚してはいけない

【所感】
地位や名声というものは求めるものでもなく、あえて捨てるものでもない。来るものは拒まず、去るものは追わずで、自分の力量以上のことをしたり、権力者に阿ったり、不正をしてまで求めるようなことだけは絶対に避けるべきである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の石崎君と同行中のようです。

「課長は、早く部長になりたいと思わないのですか?」

「思わないな」

「出世したくないんですか?」

「別に役職で仕事をするわけじゃないからな」

「佐藤部長が相手じゃ、分が悪いですしね」

「だろ? お前は出世がしたいのか?」

「それは、できることなら出世したいですよ」

「なんで?」

「なぜと言われると……」

「周りに自慢したいからじゃないのか?」

「えっ、そ、そうかも知れません」

「地位とか名誉なんてものは、こちらか求めるものじゃない。もし、話があれば喜んで受ければいいと俺は思っている。来るものは拒まず、去るものは追わずだ」

「良い仕事をすれば、可能性は高くなりますか?」

「これは課長になって、やっとわかったことなんだけどな、マネジメントとセールスの能力はまったく別だ。もし、お前がマネージャーになりたいなら、後輩の面倒をしっかりみることも忘れるなよ」

「はい!」

「ライバルを陥れたり、ゴマすりで地位を得ようなんて考えるなよな」

「そんなことはしません!」

「でも、このままだと願海に先を越されるんじゃないか?」

「リアルすぎる未来を言わないでください!!」

「ははは。お前、やっぱり願海には適わないと思っているのか?」

「あいつは読書量も凄いし、最近は結果も出しているので、このままじゃ差がついちゃうなと思っています」

「ライバルが近くにいるのは幸せなことじゃないか。お互いに高め合って、力をつけていけ!」

「私はガンちゃんに勝てますか?」

「お前のこれからの努力次第だ。あいつが10回やるなら、俺は1000回やる!というくらいの強いライバル心を持てば、充分勝てるはずだ!」

「はい。まずは、ガンちゃんが私をライバルだと思ってもらえるように、仕事に注力します!!」


ひとりごと

小生も大手精密機器メーカーに在籍時は、出世レースというのを気にしていました。

同世代には、負けたくないという思いは強かった気がします。

しかし、評価というのは他人の課題であり、出世もタイミングと運に大きく影響されるもの。

そんな浮雲のようなものを追いかけることをやめてからは、気分も楽になり、かえって仕事に集中できるようになりました。

いまここに注力すること以外に、自分の道を切り開いていく方法はありません。


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