今日のことば

【原文】
肝気有る者は多く卞急(べんきゅう)なり。又物を容るること能わず。毎(つね)に人和を失う。故に好意思有りと雖も、完成する耐(あたわ)ず。或(あるひと)謂う、「稍肝気有れば、卻って能く事を了す」と。余は則ち謂う、「肝気悪(いずく)んぞ能く事を済(な)さん。厪(わず)かに一室を灑掃(さいそう)するに足るのみ」と。〔『言志後録』第226章〕

【意訳】
すぐに怒る人は大概いらいらしてせっかちである。また人を受け容れることができない。つねに人との和を失っている。それゆえに良い考えがあると雖も、それを完成させることができない。ある人が「すこしくらい怒気があった方が、うまく事を成就できる」と言ったが、私は「怒気がどうして事を成すことがあるだろうか。せいぜい部屋を掃除できる程度である」と言いたい。

【一日一斎物語的解釈】
短気な人間は、人間関係を良好に保つことができないために、仕事を成就することができない。短気は損気以外のなにものでもない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、佐藤部長と同行中のようです。

「短気な人間というのは、せっかちな人が多いですよね?」

「そうだね。すぐに思い通りの結果がでないとイライラしてしまうんだろうね」

「はい。それ、まさに私です」

「たしかに若い頃の神坂君は、そんなことでキレるのって驚くようなことでもキレていたよね」

「お恥ずかしいです。少しは成長できているかとは思いますが……」

「うん。それは保証しよう」

「ありがとうございます」

「せっかちな人というのは、度量も狭くなりがちなんだよ。その結果、他人とうまくやることができない」

「人間関係作りが下手なんですね。以前の私はまさにそうだった気がします」

「一匹狼的なところはあったね」

「あの頃は、自分以外は敵だと思っていました(笑)」

「本当はそうではなく、怒りこそ自分の敵なんだよね。そんな神坂君が、よくぞここまで成長したね!」

「部長のおかげです。でも、怒りをパワーに変えることができれば、それも仕事を成功させる原動力にならないですかね?」

「悔しさや恥ずかしさには、自分を顧みて向上しようという気持ちがあるけど、怒りにはそれがない気がする。やはり怒りの感情というのは、百害あって一利なしかもね」

「たしかに、怒りというのはネガティブなオーラがありますね」

「うん。やはり短気は損気。すぐにイラっとしないように心を鍛錬していくしかないね」

「はい、引き続き心を磨きます!」

「そういう意味では、石崎君に感謝しないとね」

「たしかにそうですね。あいつは常に私をイラっとさせてくれますからね。私にとっての石崎、大累にとっての雑賀という存在は、神様からのプレゼントなのかも知れません(笑)」


ひとりごと

怒りの感情というものには百害あって一利なしだ、と一斎先生は言います。

正直に言うと、小生は怒りも時として自分を鼓舞する原動力なのではないかと思っていました。

しかし、この言葉を学んで、冷静に振り返ると、これまでの自分を成長させてくれたのは、悔しさや恥ずかしさであったことに気づきました。

そういえば、徳川家康公遺訓にも、「怒りは敵と思え」とあります。

怒りを覚えない自分となるべく、鍛錬を続けて参ります。


angry_fukureru_boy