今日のことば

【原文】
財は天下公共の物なり。其れ自ら私するを得可けんや。尤も当に敬重すべし。濫費すること勿れ。嗇用すること勿れ。之を愛重するは可なり。之を愛惜するは不可なり。〔『言志後録』第228日〕

【意訳】
財というものは天下の公共物である。けして私服を肥やしてはいけない。この点はもっとも尊重しなければならない。無駄遣いしてはいけないし、けちけちして出し惜しむのもいけない。大切にすることは良いが、惜しんではいけない

【一日一斎物語的解釈】
お金は天下の周りものである。私腹を肥やすのではなく、お金に働いてもらうことを考えるべきだ。無駄遣いはいけないが、有効に活用してこそお金を活かすことになる。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長と雑談コーナーで会話をしているようです。

「また中堅の医療器商社が資金ショートを起したみたいですね」

「あぁ、今井メディカルの件ね? あそこの社長は豪遊で有名だからなぁ」

「一晩に100万円以上使うみたいですよ」

「いつも社員さんが嘆いているよ。社長の経費の1割でいいから、ボーナスに回してくれって」

「切実ですね」

「お金は動かしてこそ価値があるとは思うから、ケチケチ溜めているのが良いとは思わない。しかし、あの人はいくらなんでも使い過ぎだよな」

「無駄な投資は控え、必要な投資には積極的にお金を使う。これが経営のポイントなんだと平社長に言われたことがあります」

「そのとおりだよ。そして、経営者が私腹を肥やすなんていうのは、もっての外だ」

「今井メディカルの社長も二代目ですよね? やっぱり生まれた時からお金持ちだと、感覚が麻痺するんでしょうね」

「その割に、社有車は最低10年は買い替えないらしい。女子更衣室のエアコンが壊れたときも、修理代が高いと渋ったらしいからな」

「ケチですねぇ。自分のためには湯水のように金を使い、社員さんに対してはコストをケチるなんて、最低ですね」

「そんなことじゃ、お金が気持ちよく働いてくれないよな」

「そう思います。その結果が、今回の資金ショートですよ」

「COVID-19の影響もあるんだろうけどな」

「Y社が支援するみたいですし、実質傘下に入ったようなものですね」

「今井社長はそのうち首を切られるかもな」

「社員さんが可愛そうですね」

「先日、とある経理マンから、お金は両刃の剣だと教えられたんだ。適切に使えば、お金がお金を連れて来るが、不適切だとかえって損害を被ることになると言っていた」

「なるほど、まさにお金の使い方を誤って、刃が自分に飛んできた感じですね」

「俺たちも他人事として捉えるのではなく、金は天下の周りものだということを再認識して、上手に活用してくことを心掛けようぜ!」


ひとりごと

経営トップの方への箴言といえる章句でしょう。

私腹を肥やすな、無駄遣いはするな、ケチケチするな。

この3つがポイントのようです。

しかし、広く考えれば経営に限らず、家計も同じかも知れません。

財布のヒモを握っていない小生にとっては、私腹を肥やすことはできませんが……。


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