今日のことば

【原文】
器物には必ず正副有りて、而る後に缺事(けつじ)無し。凡そ将に一事を区処せんとせば、亦当に案を立てて両路を開き正副の如く然るべし。〔『言志後録』第229章〕

【意訳】
器物には必ず正副の二つを準備しておいてこそはじめてミスなく処理できるものである。同様に、ひとつの案件を処理する場合にも、正副2案を立てて対処をすれば間違いはないであろう

【一日一斎物語的解釈】
プランを練る際には、少なくとも最善策と次善策を立てておくべきだ。ベストシナリオだけで物事を進めると目論見が外れた際に収拾がつかなくなる恐れがある。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の会議を開催しているようです。

「なるほどな。善久、おもしろい提案だ。ただし今の案は、ベストシナリオだよな? それがうまく行かなかったときはどうする?」

「え? その案しか考えていません」

「惜しいな、善久。最初の案自体は素晴らしいし、うまく行きそうな気もする。しかし、必ず成功する保証はないよな?」

「それはそうですね」

「でも、課長。必ず成功するシナリオなんてないんじゃないですか?」

「石崎、そのとおりだ。だからこそ、次の策を用意しておく必要があるんだよ」

「あぁ、そういうことですか」

「仕事は準備で8割が決まってしまうものだ。だからこそ準備の段階で、プランBを用意しておくべきなんだよ」

「プランBですか?」

「うん。オプションBなんて言い方もするな。要するに次善策だよ」

「最初の私の案がプランAということですね?」

「そう。プランAが空振りしたら、ハイおしまい、では営業として粘りがない。そこでオプションBを出す」

「オプションCは要らないんですか?」

「もちろん、Bだけでなく、Cも用意できるならそれに越したことはないが、AがダメならB、BがダメならCでは、お客さんにうんざりされちゃうだろ?」

「たしかにそうですね」

「そのときは、一旦退散だ。しかし、せめて正副2案くらいは準備して欲しいよな」

「承知しました。オプションBを考えてみます」

「仕事の成否は準備、つまり先を見通す力によるところが大きい。行き当たりばったりでは、成約率が悪くなるだけだ」

「課長は、昔から準備をしっかりやってきたんですか?」

「いや、そうじゃない。準備を中途半端にやって、打率を下げてきた俺が言うから説得力があるんじゃないか!」

「なんでそこでドヤ顔なんですか?!」


ひとりごと

『論語』のことばに、「遠き慮(おもんぱかり)なければ、近き憂(うれい)あり」とあります。

先を見通す力がないと、心配事が足元に生じてくる、という意味です。

小生はよく後輩に、「想定外を想定しておけ」と指示をします。

どんな想定外が起こるかはわからないが、必ず想定外のことは起きるという心の準備だけはしておくのです。

しかし、想定外を極力減らしたいなら、やはり準備と思慮が必要になるということでしょう。


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