今日のことば

【原文】
胸次虚明なれば、感応神速なり。〔『言志晩録』第5章〕

【意訳】
心の中が澄みきっておれば、なにごとに感応するにも神のごとく迅速である

【一日一斎物語的解釈】
常に虚心坦懐を心掛けていれば、すぐに行動することができる。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の善久君と面談をしているようです。

「私は慎重すぎるので、どうしても初動が遅くなるのが欠点だと思っています」

「慎重なことは悪いことではない。ただ、慎重が過ぎれば、せっかくのチャンスを逃すことにもなりかねないよな?」

「はい、そう思います」

「しかし、仕事がすぐに処理できないのには、もうひとつ理由があるんだよ」

「えっ、それは何ですか?」

「心だよ」

「心?」

「そう、心の問題だ。心の中が良い意味で空っぽであれば、即座に対応できる。まるで神業のようにな」

「どういうことでしょうか?」

「心の中が何か別のもので満たされてしまっていると、新たな情報を受けとるすき間がないから、結局真剣に考えることができずに後回しにしてしまうんだよ」

「あぁ、そういうことですか」

「たとえば、彼女にフラれた次の日なんかは、気もそぞろで心の中はそのことで一杯なはずだ。そんなときに、仕事のことを真剣に考えることができるわけがないだろ?」

「そ、そうですね……」

「その日のできごとはその日のうちに片をつけて、寝る前には心を空っぽにしておくんだ。そうするとよく眠れるし、気持ちよく目覚めることができるんだ」

「私は悩みやすい性格なので、それはなかなか難しい課題です」

「うん、そうだろうな。しかしだからこそ、鍛錬が必要なんだよ。虚心坦懐でいれるために、心を磨かないとな」

「わかりました。意識してみます! ところで、課長」

「ん、なんだ?」

「私が彼女にフラれたって、なんで知っているんですか?」

「え? 全然知らなかった……」


ひとりごと

心に悩みやわだかまりがあると、人は思考に集中できず、その結果仕事の上でもよいパフォーマンスができないものです。

虚心坦懐であるためには、相当なる鍛錬が必要です。

常に心を空にして、なんでも受け容れることができる体制をとっておくべきです。

人の評価はこうした緊急時の対応いかんで、意外と評価が固まってしまうことがあるので、要注意です。


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