今日のことば

【原文】
人は皆是非の窠中(かちゅう)に在りて日を送れり。然るに多くは是れ日間の瑣事にて、利害得失の数件に過ぎず。真の是非の如きは、則ち人の討(たず)ね出(いだ)し来る無し。学者須らく能く自ら覔(もと)むべし。〔『言志晩録』第16章〕

【意訳】
人は皆、善悪の穴の中にあって生活をしている。しかしこれらの多くは日々の些細なことであって、損か得かに関するものばかりである。本当の是非については、人々は求め得ようとしない。学問をする者はこの点についてしっかりと考えねばならないる。

【一日一斎物語的解釈】
損得と善悪は全く別物である。仕事においても生活においても、損得より善悪を優先することを意識すべきだ。


今日のストーリー

今朝の神坂課長は、新美課長と食事をしているようです。

「この前、サイさんと食事をしたんだ」

「えー、西郷課長とですか? 私も誘ってくださいよ」

「いや、サイさんがお前とは飲みたくないって言うからさ」

「えー、マジですか、ショックです!」

「ウソだよ」

「そうだと思ってましたけど、一応ノッてみました」

「それは言わんでいいわ! あ、そうだ。お前は君子と小人の違いって何だかわかるか?」

「急に聞かれても答えられませんよ」

「急じゃなくても答えられないだろ!」

「それ言わなくてよくないですか?」

「わからないなら、教えてやろう」

「お聞きします。西郷課長の受け売りの話を」

「それは言わんでいいわ! 簡単に言うと、俺とお前の違いと同じだよ」

「全然わかりません!」

「理解力が低いなぁ。お前はいつも損か得かばかりを考えているだろ? 俺は常に善か悪かで判断している。その違いだよ」

「つまり、君子は善悪を考え、小人は損得を優先するということですか?」

「そう。だから、君子は坦(たいら)かに 蕩蕩(とうとう)たり。小人は長(とこしな)えに戚戚(せきせき)たり、と孔子は言っている」

「どういうことですか?」

「君子は善悪を基準に考え、小さな損得に目を奪われることがないから、いつもゆったりと落ち着いている。しかし、小人は損得ばかり考えるから、いつも心配事が絶えない、という意味だよ」

「なるほど」

「納得したか?」

「するわけないでしょ! なんであなただけ君子で、私が小人なんですか! むしろ逆ですよ。昔、西郷課長が言ってましたよ。『神坂君はどうしていつも損か得かしか考えないのかなぁ』って」

「えー、マジか? ショック!!」

「ウソですよ!」

「えっ、ウソなの? よかった。びっくりさせるなよ!」

「簡単に信じないでくださいよ。そこは、『お前にノッてやった』でしょ!!」


ひとりごと

小生のような小人は、ふと気を抜くと、いつの間にか損得を考えています。

損得を考えているときは、どうしても心が落ち着きません。

善だと思うことを実行しているときは、なんともいえない充実感があり、自然と心がゆったりとしてきます。

坦か蕩蕩たる君子となるべく、小さな損得を意識しない生き方をしましょう。


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