今日のことば

【原文】
理を窮む、理固と理なり。之を窮むるも亦是れ理なり。〔『言志晩録』第18条〕

【意訳】
物の道理を窮める際、その理とは大自然の法則ともいえる理である。この理を極めるということもまた理である

【一日一斎物語的解釈】
物事の根底に流れる道理とは大自然の摂理そのものである。


今日のストーリー

今朝の神坂課長は、佐藤部長と同行しているようです。

「最近、宇宙の摂理という言葉を立て続けに聞きました」

「あぁ、そういえば先日は長谷川先生のところに行ったんだよね?」

「はい。相変わらず凛としていて、こっちまで背筋が伸びました(笑)」

「私もいつもそうだよ。宇宙の摂理の話は長谷川先生から聞いたの?」

「はい。それにサイさんからも」

「おぉ、君子お二人の言葉か、重いね」

「はい。それからずっと考えていましてね。ふと、あることを思い出して涙が止まらなくなったんです」

「ぜひ聴かせてほしいな」

「死んだ兄の言葉を思い出したんです。事故で亡くなる3日くらい前に電話で話したときの言葉を」

「どんな言葉だったの?」

「『勇、まっすぐ生きるんだぞ』という言葉です。そうか、兄貴が教えてくれていたじゃないか。宇宙の摂理に沿って生きるということは、簡単にいえば、まっすぐ生きることなんだと気づいたんです」

「なるほどね」

「それで間違っていませんよね?」

「うん、間違っていないよ。どんなときでもまっすぐに生きようと思えば、物事の道理がシンプルに理解できるようになるはずだよ」

「はい。そのときは何とも思わなかったのですが、今になって兄の言葉が心に沁みました。たぶん、ひとりで1~2時間泣いていたんじゃないかと思います」

「天国のお兄さんも喜んでいるよ。『俺の言いたかったことをやっと理解してくれたな』ってね」

「あー、また泣けてきました。本当は私じゃなく、兄が生きた方が世の為、人の為になったんです。それなのに、兄が先に死んで、私が生き残ってしまったんです」

「神坂君、この世界だけがすべてだとは限らないよ。私たちがこの世で生を終えると、次の世界が待っているのかも知れない。お兄さんは優秀な人だったから、早くお呼びが掛かったのかもしれないね」

「はい。そう考えるようにします。そして、凡人の私はこっちの世界でまっすぐ生き抜いて、宇宙の摂理を究め、次の世界で兄に少しでも追いつけるように精進します!!」

「うん。一緒に精進しょう!!」


ひとりごと

宇宙の摂理と聞くと、何かスピリチュアルの世界を想像する方がいるかも知れません。

しかし、よく考えてみれば、この世の中のすべての物は統一された道理のもとに運営されていると思わざるを得ないことばかりではないでしょうか。

それは決して人間ごときがどうこうできるものではないのです。

むしろ、その摂理にさえ逆らわなければ、与えられた天寿だけは全うできるはずです。

いつも心のどこかで宇宙の摂理を感じておきたいものですね。


phone_man3_cry