今日のことば

【原文】
誠意は夢寐(むび)に兆す。不慮の知、然らしむるなり。〔『言志晩録』第82条〕

【意訳】
真の誠は眠っている間に、その兆しが見えるものである。これは考えずとも自然に発揮される知能がそうさせているのであろう

【一日一斎物語的解釈】
心から願うことは、寝ている間にも脳の中で実現に向けて動いている。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長と雑談中のようです。

「大累、知っているか? 人間の脳は寝ている間にも進化しているらしいぞ」

「どういうことですか?」

「たとえばリフティングが苦手な少年が、昼間に一所懸命に練習をしたとするだろ。それは昼間の段階では筋肉制御の単純な記憶のままなんだそうだ。ところが、寝ている間に脳がそれを運動センスにまで高めて、運動野に書き込んでいくらしい」

「へぇー、それで翌日にはリフティングがうまくなっているってことですか?」

「うん」

「人間の能力ってすごいですね」

「ただ、俺は思うんだよな。それってその子が絶対にリフティングがうまくなりたいという強い想いがあれば、という条件つきなんじゃないかとね」

「あぁ、それはあるでしょうね。そういう想いが懸命な努力につながって、それを脳が最終的にセンスにまで高めてくれるってことでしょうね」

「そう思うよ」

「そう考えると、睡眠というのは休息だけが目的じゃないんですね」

「うん。運動だけじゃないと思うんだよな。昼間にすごく頭を悩ましたことが、寝ている間に熟成されて、翌朝目覚めたときに答えがまとまっているという経験もあるからな」

「神坂さんでもそんなに頭を悩ますことがあったんですか?」

「うるせぇな。こう見えても俺は繊細なんだよ!」

「自分で言いますか?」

「誰も言ってくれないからな」

「そうか、最近どうも仕事がうまく行かないなと思っていたんですけど、睡眠が足りていなかったのかも知れないな。それで、いつものようなキレッキレのアイデアが浮かんでこないんだな」

「お前こそ、自分で言うか?」

「誰も言ってくれませんからね!」

「寂しいな、俺たち」

「せめて自分だけは自分の応援団長でいましょうね」

「そうだな。寝る前に『俺はビッグだ』って3回唱えてから眠ることにしよう!」

「今どき『ビッグって……」


ひとりごと

夢の効能の話です。

ストーリーの中のサッカー少年の事例は、少しアレンジしていますが、元は黒田伊保子著『英雄の書』に書かれていたものです。

人間の心と体はすべて脳と繋がっているということでしょう。

ところで最近の医学では脳腸相関という言葉がキーワードとなりつつあります。

これは、脳と腸内細菌とが非常に深く関係しているということで、腸内細菌の状況によって病気が解明されつつあります。

これについてはいつかまたストーリーにしてみます。


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