今日のことば
【原文】
士にして文に志すは、是れ武に居て文を学ぶなり。虚文にして以て柔惰(じゅうだ)なること勿れ。虚武にして以て躁暴(そうぼう)なること勿れ。〔『言志晩録』第90条〕
【意訳】
士の身分で文学に志すということは、すなわち武士が文学を学ぶということである。内容のない文章や詩歌を作って軟弱かつ怠惰になってはいけない。また虚勢を張って騒々しく乱暴になるようなこともいけない。
【一日一斎物語的解釈】
本業以外のことをする際には、行き過ぎないことが肝要である。本業に支障を来すようでは本末転倒である。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、出社して新聞を広げているようです。
「大手企業はどこも副業を認め始めているんだなぁ」
「そうみたいですね」
「あ、そういえば山田さんはすでに副業をしているよね!」
「僧侶の仕事ですか? まぁ、副業というほど収入を得てはいませんけどね」
「副業をするにも、俺には営業以外に収入を得るような特技はないからなぁ」
「無理に副業しなくてもいいんじゃないですか(笑)」
「そうだけど、これからガキ二人が私大にでもいくようになったら金がかかるからさぁ」
「そこは頭が痛いですよね」
「俺の友達で、サラリーマンの傍ら中古CDの通販を始めた奴がいるんだけどね」
「稼いでいるんですか?」
「最初は赤字だったんだけどね。COVID-19のお蔭で、家にこもったおっさん連中がCDを注文し始めたようで、最近は黒字らしいんだ」
「ビジネスはタイミングですね。私の友人も保険のセールスをしながら、お蕎麦屋さんを開業した人がいますよ」
「儲かってるの?」
「始めたばかりですけど、まあまあ順調なようです」
「しかし、副業を始めたら本業が疎かになることはないのかな? 俺の場合はきっと副業に夢中になって、本業が傾いちゃう気がするんだよね」
「それぞれに関連性があれば良いんでしょうけど、そうでなければ、難しいと思いますよ」
「あー、シナジー効果か。たしかに、そうかもね」
「神坂課長、ユーチューバーはどうですか?」
「ネタがないよ! でも、やってみたいなぁ……。ダメだ、うまくイメージがまったく湧かない(笑)」
「我々は本業に集中するしかなさそうですね!」
「そうだね。次のステージが迎えに来てくれるまで、『いまここ』に力を尽くそう!」
ひとりごと