今日のことば
【原文】
人主の賢不肖は、一国の理乱に係る。妙年嗣立(しりつ)の者、最も宜しく交友を択ぶべし。其の視効(みなら)う所、或いは不良なれば、則ち後遂に邦家を誤る。懼る可きなり。〔『言志晩録』第145条〕
【意訳】
君主が堅いか否かで、国が治まるか乱れるかが決まる。年若くして後を継いだ者は、とくに交遊関係を慎むべきである。日頃模範とする人が不善であれば、将来的に国を滅ぼすことにもなり得る。恐ろしいことだ。
【一日一斎物語的解釈】
企業のトップは交友関係を慎むべきだ。師とする人に問題があれば、会社を潰しかねない。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、新美課長とランチ中のようです。
「そういえば、S総合病院の閉院にはびっくりしましたね」
「うん、幸いというか、ウチはあそことは取り引きがなかったからいいけど、Y社とかM社は結構な損害を被ったらしいな」
「あそこはたしか2年前に院長が急逝して、若先生が後を継いだんでしたよね?」
「N大卒で優秀な医者だと聞いていたんだけどなぁ」
「なんでもTK企画とかいう怪しいコンサルを雇ったのが原因らしいですよ」
「あのTK企画か! あそこはヤバいぞ。何人ものドクターが開業案件で食い物にされているからなぁ」
「そうなんですか? 突然、経営者である父親が亡くなってしまったので、まだ帝王学を学んでいなかったんですかねぇ……」
「それで、悪魔の口車に乗ってしまったのか?」
「トップの交友関係というのは、病院や企業存続の重要なファクターなんですねぇ」
「とくに誰を師とするかは重要なんじゃないか? 師がいないのも型無しでダメだけど、問題のある人間を師と仰げば、それこそ会社を潰しかねないってことだろうな」
「ウチの社長は大丈夫でしょうか?」
「あの人は大丈夫だと思うけどなぁ。いわゆるヤバい組織にはまったく属していないはずだぞ」
「社長の師匠は大丈夫ですかね?」
「たしか、すごく有名な儒学者だと聞いている。名前までは知らないんだけどな」
「それなら安心ですね。神坂さんも交友関係には気をつけてくださいよ!」
「うるせぇな。俺ほどクリーンな奴はいねぇわ!!」
ひとりごと
師匠とは少し概念が違いますが、いわゆる病院コンサルと名乗る連中の中には、けっこう危険な人種がいます。
小生もとある先生が開業で食い物にされかかったのを知っています。
その先生は、寸でのところでうまく抜け出せましたが。
最近ちまたでは、人気お笑いグループのひとりが、詐欺組織のトップと交友関係があったとのことで問題となっています。
せっかく得た地位をふいにすることになるかも知れません。