【原文】
人主、飲を好む、太だ害有り。式礼を除く外は、宜しく自ら禁止すべし。百弊皆此れより興る。
【訳文】
人主が飲酒を好むことは甚だ害がある。儀式の場合以外は、飲酒を禁止するがよい。色々な弊害はみな人主が飲酒することから起るものである。
【所感】
君主が飲酒を好むことは大きな弊害となる。儀式などを除き、飲酒は禁止すべきである。あらゆる弊害はすべてここから発生しているのだ、と一斎先生は言います。
これは世の中のリーダー諸氏には耳の痛い忠告ではないでしょうか?
様々なストレスを抱えるリーダー達からすれば、せめて酒くらい飲ませてよ、というところでしょう。
小生も、お酒が入ると大暴れする上司、お説教を延々とする上司、夜中まで何時間も付き合わせる上司などなど、困った上司を多数見てきました。
ただ、小生が一番嫌だったのは酒の力を借りて本音を言う人でした。
誰だって耳に痛い話はしたくない、聞きたくないものです。
だからこそ、素面(しらふ)のときに、そういう話をしたい、して欲しいと思ってきました。
少なくとも世のリーダー諸氏は、自分の組織のメンバーを飲みの席に誘うことは慎んだ方が良いでしょう。
特に個人的にお決まりのメンバーだけを誘うということは絶対に避けねばなりません。
そんなところから信頼関係にひびが入ることは良くあることです。
お酒を飲むなら、プライベートの友人や学友と共にすることをお奨めします。
そういう意味でも職場と家庭以外に第三の場所を持つことは重要です。
さて実は、小生はまったくお酒を嗜みませんので、この一斎先生のアドバイスだけは忠実に実行できそうです。