【原文】
説命に、明王、天道を奉若(ほうじゃく)して、邦を建て都を設け、后王、君公を樹(た)て、承(う)くるに大夫、師長を以てすと。此(これ)に据(よ)るに、封建の制は天道なり。唐虞(とうぐ)三代相沿(よ)りて、治を保つこと久遠なりき。秦已(しんい)後変じて郡県と為り、而して世数も亦促せり。余聞く、西洋諸国は地球を周回し、国土を分ちて五大洲と為す。而れども、封建の邦、惟だ我れを然りと為すのみと。亦独立自足して、異域に仰ぐ無く、厪(わずか)に漢蘭の二国有り、渠(かれ)の来りて貿易するを許す。是れ亦良法なり。我が国に在りと雖も、古代は則ち制、漢土に襲(よ)れり。神祖に至りて、群県は其の名を存して、封建は其の実を行なう。神算媲(なら)びし無しと謂う可し。郡県の世、王室政を失い、海内輒(すなわ)ち土崩瓦解す。惟だ封建は則ち列侯各々其の土を守り、庶民も亦皆其の主の為に保護す。是れ其の固き所以なり。然れども国に興廃有るは、則ち気数の自然なれば、人力を以て之を守るは、又人道の当然なり。我れ幸いに此の土に生まれ、堯舜の沢(たく)に沐浴すれば、自ら慶する所以を知らざる可けんや。柳柳州の封建論は、吾が取らざる所なり。
【訳文】
(本条は封建制と郡県制について述べているが、長文にして煩雑なるをもって、語釈・通釈などはこれを省略する)
【所感】
本章については、小生保有の解説書では、どれも訳および解説が省かれています。
よって、小生も本日はここに原文を掲載するに留めます。