【原文】
愛敬の心は即ち天地生生の心なり。草木を樹藝し、禽虫(きんちゅう)を飼養するも、亦唯だ此の心の推なり。
【訳文】
愛し敬う心というものは、天地が万物を生々化育する心と同じである。草木を植えたり、または鳥や虫などを飼育することも、愛敬の心を推し進めたものである。
【所感】
愛敬の心とは天地が万物を生々化育する心だともいえる。草木を植えて育てたり、鳥や虫を飼育するのも、この心を推進したものなのだ、と一斎先生は言います。
ここでは愛敬の心を育むのに、植物を育てたり、生き物を飼育することが役に立つということを言われています。
何度か紹介した中江藤樹先生の言葉のように、人は生れると、まずは親に対する愛敬の心を持つところが出発点となります。(逆に言えば、愛敬される親とならねばならない訳です)
そして天地が万物を等しく生々化育するように、何人も、何ごとも愛し敬していくためには、次に生き物を育てることが良いということになりそうです。(これも親の立場からすると、子供に生き物を大切にするという経験をさせるべきだということです)
現代の日本は核家族化が急速に進んでおり、二世帯住宅すらほとんど見られなくなってきました。
こうした現状においては、子供のうちに愛敬の心を育成するには、ペットの存在がとても重要なのかも知れません。
子供のうちに親を愛敬し、ペットを愛敬する心を育んでおけば、社会に出ては上司を愛敬し、また部下を愛敬できる人物となれるのだ、と一斎先生は言いたいのでしょう。
小生はあまりペットというものに愛情が湧かない人間ですが、これではいけないということでしょう。
ちょうど昨日より実家に帰省しておりますので、実家で母親がいまや我が子のように可愛がっている猫たちに愛敬の心を尽くしてみましょう。
これで今年の一日一斎は終了です。
今年も一年間休まずに投稿できました。
お付き合い頂き、いいね!やコメントをくださったすべての皆様に感謝を申し上げます。
来年ももちろん元旦から投稿します。
引き続きよろしくお願いします。