【原文】
霊光体に充つる時、細大の事物、遺落無く遅疑無し。
【訳文】
修養が純熟して心の霊妙な光が体に充満すると、細かなことも大きいことも漏らすこと無く、また疑い迷ってためらうことも無くなる。
【所感】
修養によって霊光が体に満ちると、天地間の小さい事も大なる事も漏らすことなく、また遅れたり疑う事もなくなっていく、と一斎先生は言います。
ここでは、霊光を仕事を行う上でのモチベーションと捉えてみます。
高いモチベーションを維持していれば、小さな作業から大きな仕事まで滞りなく処理でき、また進め方で迷ったり、仕事が遅れがちになるようなことはありません。
モチベーションが高いと心のアンテナの感度も高くなり、通常は見えなかったものが目に入り、聞こえていなかったことが耳に入ってきます。
この結果、早期にトラブルの端緒に気づくことができ、初動で火消しをすることも可能になります。
また、モチベーションが高いと物事の判断基準もクリアになります。
善悪よりも損得、私欲よりも公欲に基づいた仕事が可能になるはずです。
では、どうしたらモチベーションを高く維持できるかですが、自分の仕事が組織や会社に貢献しており、また世の中に貢献していることを実感できるかどうかにかかっています。
これは、『嫌われる勇気』に書かれていましたが、自分が他人の役に立っているという「貢献感」
をもつことが幸せになる条件なのだそうです。
日々の仕事に忙殺されるだけでなく、時にはちょっと立ち止まって、自分の仕事がいかに世のため人のためとなっているかを確認することも重要なことなのかも知れません。