【原文】
物遽(にわか)に視て以て奇と為す者、其の実皆未だ必ずしも奇ならず。視て尋常と為す者、卻って大いに奇なる者有り。察せざる可けんや。
【訳文】
物をあわてて見て、珍しく見えるものは、必ずしも珍しいものとは限らない。見て平凡なものとしているものに、かえって大変珍しいものがある。よく観察しなければいけない。
【所感】
物事には一見すると珍奇にみえることがあるが、実はそれらがすべて必ずしも珍奇だとは限らない。また見たところ平凡に見えるものが、かえって大変に珍奇である場合もある。よく観察することが重要である、と一斎先生は言います。
最初の印象と実際が違うということは間々あることです。
これは見る側の洞察力如何の問題だと言えるでしょう。
洞察力を磨くには、なんといっても経験を積むことです。
一昨日書いたように、実体験に読書などの疑似体験を加えて、物を見抜く洞察力を磨くべきです。
小生が師事する中村信仁さんから教えていただいたことに、2つのYESと2つのNOという話があります。
営業の世界では、お客様のYESとNOには以下のタイプがあるのです。
YES だから YES
NO だから NO
YES だけど NO
NO だけど YES
実績を上げている営業人は、YESだけどNOのお客様をしっかりと見極め、的確なクロージングをかけます。
YESだからYESのお客様は誰でも受注できますので、結局売上の差はこのYESだけどNOのお客様をいかに取り込むかにかかってくる訳です。
一方、売上の不安定な営業マンというのは、NOだけどYESのお客様を一所懸命にYESにしようと努力をします。
これは無駄な努力です。
中村信仁さんは、
NOのお客様をYESにはできない
と言います。
洞察力、観察力を磨くことで成果が変わってくるのは、営業の世界に限らないはずです。
読書 → 思索 → 実践
のサイクルを回し続けるしかありません。