今日の神坂課長は、佐藤部長の自宅を訪ねたようです。
「部長、なんとか売上計画はクリアできました」
「おお、素晴らしいじゃないか。神坂君、ご苦労様でした」
「みんなのお陰です。あいつらはみんな最高の連中ですよ。部長が作り上げた組織は素晴らしいです!」
「いやいや、神坂君がしっかり営業部をまとめ上げた結果だよ。ありがとう!!」
「部長の復帰をみんなが待っています。月曜日が楽しみです! さて、この土日はゆっくり本を読もうかなぁ」
「読書もゆっくりできなかったかい?」
「はい、なかなか落ちつかなくて」
「実は読書には2つの効能があるんだよ。ひとつは本で学んだ知識を仕事や生活に活かすこと」
「それ以外にあるんですか?」
「もうひとつは、心を落ち着けるための読書だよ」
「えー、昨日までの私みたいに心が乱れていても、本を読むことで心を落ち着けることができるということですか?」
「うん。仏教の経典とか中国古典なんかは、そういう効果が期待できるよね」
「なるほど。心を落ち着けるための読書か。あ、それなら最適な本がありますね!」
「ほぉ、何だろうね?」
「部長、分かっているくせに! 『言志四録』に決まっているじゃないですか!!」
ひとりごと
超訳に近いレベルですが、本章の一斎先生の言葉を、小生は以下のように理解しています。
読書には、精神を鍛える読書と行動の指針を得る読書の2つがある。
このうち、行動の指針を得る読書をする人は多いのですが、精神を鍛える読書をしている人は少ないのではないでしょうか?
精神を鍛えるには、東洋の古典が最適です。
【原文】
精神を収斂して、以て聖賢の書を読み、聖賢の書を読みて、以て精神を収斂す。〔『言志後録』第130章〕
【訳文】
心を研ぎ澄まして聖人賢人の書を読み、聖人賢人の書を読んで精神を磨き上げるのだ。
【所感】
読書の効用は2つある。ひとつは仕事や人生に活かすこと。もうひとつは精神を磨くことである。