一日一斎物語 (ストーリーで味わう『言志四録』)

毎日一信 佐藤一斎先生の『言志四録』を一章ずつ取り上げて、一話完結の物語に仕立てています(第1066日目より)。 物語をお読みいただき、少しだけ立ち止まって考える時間をもっていただけたなら、それに勝る喜びはありません。

2019年12月

第1784日 「怨み」 と 「報復」 についての一考察

今日の神坂課長は、営業2課の善久君と商談の打合せをしているようです。

「なぜ、ここまでY社の今枝さんが価格を下げて取りに来るのか、私には理解できません」

「そうだなぁ。これってY社からしたら赤字じゃないの?」

「そうなんですよ。明らかに赤字だと思うんです」

「今枝さんがそこまで感情的に来てるということには、何か理由があるんじゃないか? お前、心当たりはないのか?」

「あっ、ありました! 去年の今頃、明石クリニックさんの商談で、デモもしていないのに、価格を下げて横取りしたことがあります」

「それだよ! もちろん営業である以上、売り上げを上げることは大切だが、この業界の暗黙のルールがあることも忘れないようにしないとな」

「あの時は、院長先生が私の父と知り合いだというので、価格を出すように言われたんです」

「そうだったな。その状況だと断れないな。しかし、今枝さんが腹を立てるのも理解できるよな」

「はい、デモもしていないのに、後出しで価格で取られたら、私も腹が立ちます」

「怨みを買うときというのは、大概は自分に非があることが多いものだ。それをよく把握せずに、怨みに怨みで報いると泥仕合になるだけだ」

「そうですよね。ここは、今枝さんと話をしてみましょうか?」

「場合によっては、この商談を降りるか?」

「でも、ここで降りてもY社さんの赤字は変わりませんよね?」

「ということは、彼の怨みは晴らせないわけか」

「どうしましょうか?」

「あまり良い手だとは思えないが、Y社と取引をするかな」

「談合ですか?」

「お前、そういうことを大きな声で言うなよ。状況に応じて臨機応変な対応をするということだ。あとは任せてくれ」


ひとりごと

恩には報恩を心掛けるべきですが、怨みに対しては報復してはいけない。

もちろん正論ですが、しかしいざ喧嘩を売られるとついついその土俵に上がってしまうのも人情です。

もちろん、一方的な怨恨であれば、正々堂々と対処すべきかもしれませんが、その前に、なぜ怨みを買うことになったのかを一度落ち着いて考えてみよ、と一斎先生は言います。

実際に、冷静に考えてみれば、自分の側に非があるということは、決して少なくないのではないでしょうか?


【原文】
恩怨分明なるは、君子の道に非ず。徳の報ず可きは固よりなり。怨に至っては、則ち当に自ら其の怨を致せし所以を怨むべし。〔『言志晩録』第150条〕

【意訳】
恩には恩で、怨みには怨みで報いるというのは、君子の道とはいえない。恩を受けてこれに報いることは当然である。しかし怨みについては、なぜ自分がその怨みを買うことになったのかに思いを致し、自分自身を怨むべきである

【一日一斎物語的解釈】
恩に感謝し報いるのは当然である。しかし、怨みに対しては、報復などはせず、なぜ怨みを買うことになったのかをよく反省すべきであろう。


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第1783日 「同僚」 と 「兄弟」 についての一考察

大累課長が雑賀さんと面談中のようです。

「以前に比べればだいぶマシにはなったのですが、やっぱりまだ同僚との距離を感じるんですよね」

「へぇー、どの辺と距離があるんだよ?」

「廣田君とか本田君あたりとは、心の壁を感じます」

「誰のせいだろうな?」

「俺のせいだと言いたいんでしょ? まあ、そうだと思いますけど、最近は接し方を変えているのに全然響かないんですよ」

「そのお前の嫌味たっぷりな言い方が問題なんじゃないの? いまもそうだけど、お前と話すと大概イラっとするもんな」

「え、今の俺の話し方になにか問題がありました?」

「気づいてないもんなぁ。その嫌味を封印するのが先決じゃないの」

「俺、嫌味を言ってます?」

「うん。たっぷりな」

「マジですか・・・」

「社長が当社の社員さんはみんな家族だと言っているだろう。だから、お前は廣田や本田とは兄貴のように接しなければいけないんだと思う。それなのに、何か相談するとすぐに嫌味を言われるんじゃ、誰も相談しないよ」

「兄貴かぁ。たしかにあいつらを弟だと思ったことはなかったな」

「ちょっと苦手意識もあるだろう? 石崎なんかに比べるとな」

「それはありますね」

「そういう気持ちは相手にも敏感に伝わるからな。とにかく心の壁は双方にあるはずだから、まずはお前の壁をぶち壊すのが先だよ」

「そうですね。弟に手を差し伸べるつもりで応対してみます」

「来月の面談が楽しみだな!」


ひとりごと

同僚との接し方に苦労している人は多いようです。

しかし、相手だけに一方的に壁があるということは稀なケースではないでしょうか?

同じ建物に住む家族だととらえて、自分の立ち位置や役割を考え、そこから採るべき行動を決めてみるのも一計です。


【原文】
僚友に処するには、須らく肝胆を披瀝して、視ること同胞の如くなるべし。面従す可からずと雖も、而も亦乖忤(かいご)す可からず。党する所有るは不可なり。挾む所有るは不可なり。媢疾(ぼうしつ)する所有るは最も不可なり。〔『言志晩録』第149条〕

【意訳】
同僚と交際するときは、総じて心の中をさらけ出して、兄弟のように振舞うべきである。なんでも言うことを聞くというのも良くないが、叛き逆らうのも良くない。徒党を組むのも宜しくないし、胸に一物をもって付き合うのも宜しくない。そねみにくむようなことは最も良くない

【一日一斎物語的解釈】
同僚と接する際には、心の壁を取り払い、本心で接することを意識すべきだ。すべてに同意したり、すべてに反対したり、徒党を組んだり、面従腹背というような態度をとることは、真の同僚の接し方ではない。


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第1782日 上司への 「経緯」 と 「態度」 についての一考察

営業2課の石崎君、善久君、梅田君が喫茶コーナーで雑談しているようです。

「信じられないよね。あれでカミサマは丸くなったんだって、大累課長とかは言うんだよ」

石崎君は、先ほど神坂課長にこっぴどく叱られた後のようです。

「殴られないだけいいんじゃない」

「ゼンちゃん、もし殴られたら即訴えてやるよ!」

「上司だからって、やっぱりものの言い方とか態度ってあると思うんだよ。あんな頭ごなしに叱られたら、どれだけ正しいことを言われても、頭に入ってこないもん!!」

「石崎さん、相当やられてましたよね」

その頃、佐藤部長の部屋では・・・

「石崎の奴、上司に接する態度じゃないんですよ。露骨にふてくされやがって!」

「また名コンビにトラブルかい?」
「名コンビだなんて勘弁してくださいよ。もう少し、上司を敬うように部長からも言ってください!!」

「だいぶご立腹なようだね?」

「半人前のくせに一丁前な意見を言ってくるんですよ。『課長はおかしいです!!』とか言って、それが上司に対する物言いか!って思いますよ」

「よく殴りかからなかったね」

「そんなことしたら、今のご時世、一発でアウトじゃないですか!」

再び、喫茶コーナーをのぞいてみると・・・

「でも、神坂課長は私と同行したとき言っていましたよ。『石崎は素直で純粋でいい奴だ。将来、絶対に凄い営業マンになるから、梅田もよく見習うようにって」

「えっ、マジで?」

その頃、部長室では・・・

「そういえば、石崎君と面談をしたときに言ってたなぁ。『私は神坂課長を心から尊敬しています。あの人のようにお客様の心をつかむ営業マンになりたいです』ってね」

「えっ、本当ですか・・・」


ひとりごと

上司に対しては、その人の人間力如何には関係なく、その職位に対して敬意を払いなさい、と森信三先生は言っています。

もちろん、その人自身に敬意を持つことができれば理想ですが、やはり部下として最低限のマナーというものはあるでしょう。

ところで、小生自身を振り返ってみますと、思い出すのも恥ずかしいくらい、過去の上司の皆さんに失礼な態度をとってきたことを今更ながらに後悔しております。


【原文】
官長を視ること、猶お父兄のごとくして、宜しく敬順を主とすべし。吾が議若し合わざること有らば、宜しく姑(しばら)く前言を置き、地を替えて商思すべし。竟(つい)に不可なること有らば、則ち笱従(こうじゅう)す可きに非ず。必ず当に和悦して争い、敢て易慢(いまん)の心を生ぜざるべし。〔『言志晩録』第148条〕

【意訳】
所属の長に対するには、あたかも父兄に対するように、よく敬い順うことを重視すべきである。自分の意見と合わないことがあれば、少しの間は前言をそのままにして、立場を替えて考えるべきである。最終的に長の意見に良くないことがあるならば、そのまま従うようなことをすべきではない。そのようなときは、表情は穏やかにしつつ論争し、間違ってもあなどる態度を見せてはいけない

【一日一斎物語的解釈】
上司との付き合い方は慎重さを要すべきである。常に敬意を払い、立場を尊重しなければならない。安易に口答えをしたり、異論を唱えるのではなく、言い方や態度に十分に気を付けて意見を言うことを忘れてはならない。


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第1781日 「飲酒」 と 「業績」 についての一考察

今日の神坂課長は、職場での納会を終えた後、西村部長、大竹課長、佐藤部長、大累課長、新美課長らと、二次会の真っ最中のようです。

「今年も一年間があっという間に過ぎましたね。いろいろありましたが、こうして楽しく酒を飲みながら年末を迎えられるのですから、良い一年だったのかなぁ?」

「神坂君、それはそうだよ。まずこうして元気に年末を迎えられたことを感謝しないとな」

「本当ですね。西村さんも毎日、ヘベレケになるまで酒を飲みながら、よく今日までご無事で」

「やかましいわ!!」

「ははは。神坂君、一斎先生は禁酒推進派だからね。私は少しだけ気が引けるけど、やっぱり楽しいお酒はやめられないよね」

「サトちゃんの飲み方は、たしなむ程度だから問題ないでしょう」

「そうそう、西村さんのはダメですけどね。お酒に飲まれてますから!」

「神坂! お前はやかましいねん!! 俺ほど楽しく酒を飲める人間はそうはいないぞ!」

「タケさん、帰りの方向が一緒だから、今日もよろしく頼みますよ。どうせ最後は独りで立てなくなりますからね」

「今日一緒に来たときから覚悟してます」

「ははは」

みなさん、楽しそうにお酒を飲んでいるようです。

「さっきから西村部長をだいぶ攻撃していますけど、神坂さんも昔は相当ヤバかったですよね」

「そうそう。飲むと必ず喧嘩でしたから」

「大累、新美、昔話をするようになったらおしまいだぞ」

「私はこの人はぜったい酒で失敗するなと思っていました」

「私もです。そのうちに前科者になるなって」

「お前らこそ、やかましいわ!!」

「こりゃあ、どっちもどっちだなぁ」

「大竹!! 俺と神坂と〇♪△¥◇%◎♯・・・」

「ほら、すでに西村さんは出来上がりつつありますよ。ろれつが回ってないもの」

「よく考えたら、この会社はこんな飲兵衛の集まりで、よく大きな失敗もせずに成長してこれましたねぇ」

「それ、神坂君が言うかなぁ・・・」


ひとりごと

酒は百薬の長であるとともに、飲む凶器ともいえる性格も持ち合わせています。

年末・年始と忘年会や新年会でお酒を飲む機会が増えるでしょう。

皆様、くれぐれもお気をつけてよいお年をお迎えくださいね。


【原文】
人主、飲を好む、太だ害有り。式礼を除く外は、宜しく自ら禁止すべし。百弊皆此れより興る。〔『言志晩録』第147条〕

【意訳】
君主が飲酒を好むことは大きな弊害となる。儀式などを除き、飲酒は禁止すべきである。あらゆる弊害はすべてここから発生しているのだ

【一日一斎物語的解釈】
飲酒は適度を保つべきである。酒に飲まれていては良い仕事はできない。


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第1780日 「真の善」 と 「仮の善」 についての一考察

今日の神坂課長は、石崎君の相談を受けているようです。

「でも、このまま上級機を売った方が会社の為にもなるから良いじゃないですか? それが課長が言う善悪の善ではないのですか?」

「違うな」

「えっ?」

「いいか、多くの人間は自分に都合の良いものを善だと捉える。しかし、善とはそんな都合の良いものではない

「・・・」

「誰がいつ、どのタイミングで考えても善であるものだけが、真の善だ。」

「真の善?」

「お前の言う善は会社にとっては善かもしれないが、大切なお客様にとっては悪ではないのか?」

「でも、気づいていないわけですし・・・」

「もしそのお客様が、実はもっとリーズナブルな器械があると知ったときにはどう思うだろう?」

「そ、それは、・・・」

「『石崎さん、なぜ教えてくれなかったの? そう言われるんじゃないか?」

「はい・・・」

「本当にお客様にとってベストのものを提案する。それができないなら少しでもベターなものを提案する。それが真の善であり、真の営業人だと思う」

「真の営業人?」

「真の営業人は、決してお客様を不幸にはしない。いつもお客様の笑顔だけを考えて行動する」

「そんな営業人になりたいです」

「なりたい? 甘いぞ、石崎。〇〇したい、なんて言っているうちは望みは叶わない。『なる』と言い切れるようにならないとな」

「はい。私は真の営業人になります!!」

「石崎、お前は若い。若いからこそ、善悪と損得の違いをしっかり学んでほしい。俺みたいに手遅れになる前にな」

「えっ?」

「俺は若いころ、自分の都合だけで、お客様を二の次にした商売をたくさんしてきた。今でも俺の顔を見るだけで吐き気がすると言うお客様もいる。今は、そのことをすごく後悔しているんだよ」

「神坂課長、ありがとうございます。損得と善悪の違いがよくわかりました。でも・・・」

「なんだ?」

「手遅れだなんて言わないでください。今からでもそのお客様のところに謝りに言って、そして私を紹介してください」

「・・・」

「そして、課長の愛弟子である私がしっかりとそのお客様の笑顔を取り戻します!」

「石崎。ありがとう! そうだな、手遅れだなんて諦めてはいけないな」

「そうですよ!」

「ただなぁ、そういうお客様が30人以上いるんだよなぁ」

「マジですか!?」


ひとりごと

損得と善悪の区別ができているビジネスマンは意外と少ないのではないでしょうか?

皆さんも、自分にとって都合の良いことを善としてはいないでしょうか?

常に善を貫くことは容易なことではありません。

特に、売上を追い続ける営業職にある人にとってはそうでしょう。

しかし、やはり善を貫き続ける営業人であらねばなりません。

真の営業人になるために!


【原文】
凡そ事には真の是非有り、仮の是非有り。仮の是非とは、通俗の可否する所を謂う。年少未だ学ばずして、先ず仮の是非を了すれば、後に迨(およ)んで真の是非を得んと欲すとも、亦入り易からず。謂わゆる先入主と為り、如何ともす可からざるのみ。〔『言志晩録』第146条〕

【意訳】
世の中の事には、真の善悪と仮の善悪とがある。仮の善悪とは、世間の人々が良し悪しを論ずるような類のものである。年若くして学びが浅いうちに、仮の善悪を了解してしまうと、後で真の善悪をつかみたいと希望しても、簡単には了解できなくなるものだ。いわゆる先入観となって、どうしようもなくなってしまうのだ

【一日一斎物語的解釈】
真の善悪と仮の善悪とは明確に区別しておかねばならない。仮の善悪とは損得と同一のものであり、若いうちに損得勘定だけで行動する習慣がつくと、善悪と損得の違いが理解できなくなる。大いに気を付けるべきだ。


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第1779日 「起業」 と 「交友関係」 についての一考察

S急便の中井さんが独立するということで、J医療器械に挨拶に来たようです。

「中井さん、凄いですねぇ。思い切りましたね」

「お二人のお陰ですよ。お二人に会って読書をするようになり、そのうちに徐々に起業したいと思うようになったんです」

「それは私というより、佐藤部長のお陰ですよ」

「いや、神坂さんとの会話からもたくさん学ばせてもらいましたよ」

「それで中井君、仕事は同じような仕事をするの?」

「はい。地元の企業さんに密着して、流通だけでなく在庫管理もやっていこうと考えています」

「流通だけでは厳しいですもんね?」

「そうなんです。それで、起業に当たって、お二人からアドバイスが欲しいなと思いまして、ご挨拶方々お邪魔しました」

「アドバイスだなんて、それは部長にお願いします」

「僕もアドバイスをできるような立場ではないけどね。私のというより一斎先生のアドバイスをお伝えしょうかね」

「ぜひ、お願いします」

「若くして企業のトップに立つ人は、まず交友関係を正すべきだと言っている。つまり、お付き合いする相手を選びなさいってことだね」

「なるほど」
中井さんは真剣にメモを取っています。

「特に師と仰ぐような人が問題のある人だと、最終的には会社を潰してしまうかも知れない、とね」

「そうかぁ。確かに俺はもともとヤンキー上がりですし、地元の仲間には悪いのもたくさんいます。その当たりは注意が必要なんだろうな」

「業界的にも、なかなか裏がありそうな気もしますしね」

「まあ、そうだよね。でも、大丈夫! 私がこの仕事を一から学んだ先輩も先に独立して、そこそこうまくやっているんだ。その人がいわば、俺の師匠かな」

「それなら安心だね」

「それに、俺にはお二人がいますから。これからも困ったときには、いろいろと相談させてください!」

「それは喜んで。ねぇ、神坂君」

「はい。応援します!」

「ありがとうございます」

「S急便さんは円満に退社できそうなの?」

「それは、問題ありません」

「それなら、立ち上げたら最初の仕事はウチで発注させてもらうよ。在庫管理についても弊社の課題のひとつだから、ぜひ相談させてもらいたいな」

「ありがとうございます!!」


ひとりごと

一斎先生の言うように、交友関係は慎むべきものですね。

少し前に話題になった女優のSさんも、交友関係を誤らなければ、あんなことにはならなかったのではないでしょうか?

もちろん大前提は、自覚と自制にあることは言うまでもありませんが!


【原文】
人主の賢不肖は、一国の理乱に係る。妙年嗣立(しりつ)の者、最も宜しく交友を択ぶべし。其の視効(みなら)う所、或いは不良なれば、則ち後遂に邦家を誤る。懼る可きなり。〔『言志晩録』第145条〕

【意訳】
君主が堅いか否かで、国が治まるか乱れるかが決まる。年若くして後を継いだ者は、とくに交遊関係を慎むべきである。日頃模範とする人が不善であれば、将来的に国を滅ぼすことにもなり得る。恐ろしいことだ

【一日一斎物語的解釈】
企業のトップは交友関係を慎むべきだ。師とする人に問題があれば、会社を潰しかねない。


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第1778日 「女性の活躍」 と 「職場の活性化」 についての一考察

今日の神坂課長は、同期入社の人事課鈴木課長とランチ中のようです。

「本当か?! ウチに女性の営業さんは厳しいだろう」

「それはそうだけど、男子学生に絞り込んでいては、思うように採用もできない時代だからな」

「ウチは女性は採用しないものだと思っていたよ」

「今までは暗黙のルールのようなものがあったのは事実だが、今はそうも言っていられない。実際に新卒の募集をかけると、結構女子も応募してくるからな」

「へぇー、そうなのか? 今までに面接をしたことはあるのか?」

「正直にいって、去年までは書類で落としていた。しかし再来年の新卒からは女性に門戸を開こうということになった」

「俺たち医療器械屋は結構力仕事もあるし、リフトカーなんかも運転しなきゃいけないし、女子に勤まるかなぁ?」

「すべて同じ業務を任せることもないだろう。女性には女性にしかできない仕事もあるはずだ」

「月に一回のものもあるし、下手にそれを聞けばセクハラだと言われそうだし、うまく行くイメージがないなぁ」

「俺もない!」

「なんだよ、だったらやめておけよ」

「この件については、西村部長が推進派で、平社長のお墨付きももらっているんだ」

「あのエロおやじ!」

「それで、お前に相談がある」

「なんだよ」

「女性の営業社員さんにどういう仕事をさせるべきかを考えて欲しい。ひとりだけ入社させると心細い面もあるだろうから、最低でも2名は採用予定なんだ」

「俺には女が何を考えているかなんてわからないよ。それはお前も知っているだろう。新美に頼めよ。あいつは意外と若い娘と仲良くやるの得意だぜ」

「別に新美を巻き込んでくれてもいいよ。とにかく女性営業社員採用プロジェクトの営業側の責任者がお前ならいい」

「勘弁してくれよ。昨日もカミさんと喧嘩してるんだぞ」

「ははは、そんなことは知ったことじゃないよ。この件は、平社長、西村部長、佐藤部長も了承済だ」

「お前、先に外堀を埋めやがったな!」

「じゃあ、頼むぞ」

「嫌だと言ったら?」

「そうだなぁ、お前に貸している金の合計は10万は超えているだろう。いますぐ全額を返済してもらおうかな」

「脅迫かよ?」

「貸したものを返してくれと言っているだけだ」

「これって、パワハラじゃないの?」


ひとりごと

職種によっては、女性に不向きなものがあるのは事実でしょう。

営業という職種も、業界を問わず、男性比率が高いようです。

しかし、労働人口が減少している中で、女性に活躍の場を与えることは重要な課題のひとつです。

男性とまったく同じ仕事をするのではなく、女性に特有の感性を活かした働き方を検討していく必要もあるでしょう。


【原文】
方今諸藩に講堂及び演武場を置き、以て子弟に課す。但だ宮閫(きゅうこん)に至りては未だ教法有るを聞かず。我が意欲す、「閫内に於いて区して女学所を為(つく)り、衆(おおく)の女官をして女事をばしめ、宜しく女師の謹飭(きんちょく)の者を延(ひ)き、之をして女誡(じょかい)・女訓・国雅の諸書を購解せしめ、女礼・筆札・闘香(とうこう)・茶儀を并(あわ)せ、各々師有りて以て之を課し、旁(かたわ)ら復た箏曲(そうきょく)・絃歌の淫靡ならざる者を許すべし」と。則ち閫内必ず粛然たらん。〔『言志晩録』第144条〕

【意訳】
最近、各藩では学問所や道場を設けて青年に勉強を課している。ただ大奥に対しては未だに教育方法がないと聞く。私は以下のような期待をしたい。「大奥に区画を設けて学問所を作り、多くの女官に女性にとって大切な道を学ばせ、慎み深い女性教師を招聘して、女性としての戒訓、和歌などの書を購読させ、礼儀作法、習字、香道、茶の湯などにそれぞれの教師をつけて学ばせ、その合間に、琴曲・弦歌などで淫らでないものは許可する」と。このようにすれば大奥は必ず粛然となるであろう

【一日一斎物語的解釈】
男女同権であることにまったく異論はないが、女性には女性ならではの学ぶべき道があるはずだ。


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第1777日 「悪女」 と 「経営」 についての一考察

神坂課長のデスクに、本田さんが困り果ててやってきました。

「参りました。Mクリニックでクレームです」

「マジか! あそこはヤバいぞ。言いがかりをつけて、修理代をタダにしたり、何か商品を手に入れようとすることで有名な施設だからな」

「はい。今回もめちゃくちゃな言いがかりです」

「そうだろうな。実は俺も一度、クレーム対応で訪問して院長と大喧嘩になり、そのまま出禁になった施設だ」

「うわぁ、本当ですか? じゃあ、課長は同行してもらえないんですね?」

「まあ、いざとなれば行くけど、かえってこじれるかもなぁ」

「最初は院長と交渉していたのですが、そのあと事務長が出てきまして・・・」

「出た! 院長の奥さんだろう?」

「そうなんです。『あたなは院長の言うことが間違っているとでもいうの?』とかなんとか言われて、だんだん追い込まれていきまして」

「まったく同じセリフを俺も言われたよ。それ、たぶん台本になってるんじゃないの?」

「そうかも知れませんねぇ」

「医者が言いがかりをつけてきたり、MEさんが性格がねじ曲がっているなんていうのは、ある意味でなんとでもなるんだよ。問題は大奥さ。今回みたいに奥様が登場するケースは大概ロクな話にならないからな」

「本当ですよね。返品を受けるか、修理代をタダにするかどちらかだ、といって聞かないんです」

「返品って、もう2年も前に売った製品だろう?」

「そうです。あり得ないですよ!」

「メーカーさんには相談したの?」

「あそこに売る時に、メーカーさんからはやめてくれと言われたんです。それでも私が説得して卸してもらった経緯があるので、対応はしないと言われてしまいました」

「きっと、その担当者も以前にひどい目に遭ったんだろうな」

「そう言っていました」

「お客様を選ぶなんていうのは、本来不遜なことかも知れないけど、やはりある程度の線引きはしたいな。今回の件を機になんとか取引を終了する方向に持っていけないかね?」

「今現在でMクリニックさんに出入りしているディーラーはウチだけなんです。それは院長もわかっているので、多分なんとか取引を続けさせようとしてくると思います」

「なんだよ、今年の最後にクソ面倒なトラブル発生だなぁ」

「すみません」

「まあ、本田君が悪いわけじゃないよ。商売を認めたんだから、俺にも責任はある」

「ここは佐藤部長に相談しましょうか?」

「それしかないな。今から部長のところに行こう!」


ひとりごと

過去の中国の王朝の歴史をみると、暴君の陰にはかなず美女がいます。

楊貴妃、武則天、西太后といった悪女は、夫である皇帝を思いのままに操り、贅の限りを尽くし、国を破滅へと導いています。

企業経営も同じでしょう。

女性に現を抜かすと、その企業は傾いていくはずです。


【原文】
大臣の権を弄するは、病猶外症のごとし。劇剤一瀉して除く可きなり。若し権、宮閫(きゅうこん)に在れば、則ち是れ内症なり。良薬有りと雖も施し易からず。之を如何せん。〔『言志晩録』第143条〕

【意訳】
大臣が権力をもてあそぶことは、外傷を患うようなものである。劇薬を処方して一気に取り除くべきである。しかし、もしその権力が大奥のような深い場所にあるならば、それは内臓疾患のようなものである。たとえ良薬があったとしても簡単に治療することはできないであろう。これをどう処置したらよいだろうか

【一日一斎物語的解釈】
部長や役員クラスの横暴であれば、最悪は罷免すればよい。しかし、社長夫人などに権力が集中すると、簡単には対処できないので困りものである。


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第1776日 「おめかし」 と 「おでかけ」 についての一考察

今日の神坂課長は、休日を自宅で過ごしているようです。

「あれ、今日はどこも行かないのね? めずらしい」

「今日は年賀状を書くんだよ。お前、なんだよ朝っぱらからその派手な化粧は?」

「友達と映画を観に行くの」

「映画でそこまで着飾るか、ふつう」

「あれ、疑ってるの?」

「アホか! いい歳こいたオバハンが着飾ってるのが哀れに思えただけだ」

「ゴマ塩頭のオッサンに言われたくないわ!」

「佐藤一斎先生の本にはこう書いてあるぞ。『女が着飾ることを慣習としてはいけない。女は質素であるべきだ』ってな」

「いつの時代の話よ! 今そんなことを本気で言ったら、世の女性全員を敵に回わすことになるわよ」

「『動物をみても、オスの方が飾りが立派なのは、それが自然の摂理だからだ』とも言ってるぞ」

「あんたのその恰好のどこに飾りがあるのよ、上から下まで全身ユニクロじゃないの」

「それはお前、今日は休日だからな・・・」

「たまのお出かけくらいいいじゃない。誰かの稼ぎが良くないから、たまにしかおめかしできないんだから!」

「ちっ、それを言うか、それを!」

「隣の大西さんの奥さんなんて、しょっちゅう海外旅行に行ってるのよ!」

「お前と大西さんの奥さんの容姿を比べてみろ。あの人はセレブが似合うが、お前はエプロンとか割烹着の方がお似合いだ!」

「頭にきた! 今日は晩御飯なしね。食べて帰ってくるから」

「それはズルくないか? お前がそういうこと言う時はだいたい計画的犯行だからな。最初からそのつもりだったんだろう!」

「ふふふ、バレた? 飛んで火にいる夏の虫ってこのことね。あなたが何か言ってきたらそれを理由にしてやろうと思っていたの」

「やっぱり」

「でも、今日の話は想定外に腹が立ったわ。一週間家事を放棄したいくらいよ」

「そこまではやり過ぎじゃないの・・・」


ひとりごと

昨日に続いて、現代にそのまま当てはめると大炎上をきたしそうな話題です。

これについては、思うところもありますが、ぐっと堪えて腹にしまっておきます。

ちなみに、このストーリーは決して実話ではありませんので、お間違いなく!!


【原文】
婦女の服飾の美麗を以て習と為すは、殆ど不可なり。人の男女有るは、禽獣の雌雄牝牡有ると同じ。試に見よ、雄牡は羽毛飾り有りて、雌牝には飾り無きを。天成の状是の如し。〔『言志晩録』第142条〕

【意訳】
婦女子が服装を美麗に飾ることを風習とするのは宜しくない。人間に男と女の区別があるのは鳥や獣に雌雄や牝牡があるのと同じことである。試みに見てみよ、禽獣のおすには羽毛の飾りがあるが雌には飾りが無いではないか。天然自然の有様はこのようなものである

【一日一斎物語的解釈】
女性が着飾り過ぎて家事をおろそかにするようでは困りものである。


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第1775日 「貞」 と 「順」 についての一考察

今日の神坂課長は、佐藤部長と一緒に「季節の料理 ちさと」にいるようです。

「私は最近、毎日一章ずつ『言志四録』を読んでいるんですけどね、昨日の章は、婦人は貞操を守り、ただ夫に従えばよい、というような意味の言葉だったんですよ」

「当時と今とでは時代が違うからね」

「今の時代にそんなこと言ったら、日本中の田島洋子が騒ぎ出しますよね。(笑)」

「本当だね」

「ちさとママはどう思う?」

「うーん、貞操を守るとかではないけど、ずっと愛していられる男の人に出会えたらいいな、って思うわね」

「ふーん。そういう人に出会ったら、一歩下がって後ろからついていく?」

「もちろん!」

「やっぱり、ママも古風なんだよね。ウチのカミさんにそんなこと言ったら、『バカじゃない』って鼻で笑われるだけだよ」

「そんなことないんじゃない? 今まで神坂君についてきてくれたんだからさ」

「あいつは亭主元気で留守がいい、ってタイプの女ですよ!」

「酷い言い方ね。バチが当たるわよ」

「ママも昭和の人だな。今時、バチがあたるなんていう若い子はいないよ」

「昭和で悪かったわね」

「そうだ、神坂君。この後、お店を閉めたら、ママと飲みに行くつもりなんだけど、神坂君も一緒に行く?」

「えっ、それは遠慮しておきますよ。今、部長が私を誘ったときのママの表情を見ました? 『お願い、行くって言わないで』って顔してましたよ」

「うそっ! やめてよ、そんな顔してないもん!!」

「ママ、なんでそんなに真っ赤な顔をしてるの? 大丈夫だよ、俺はこれで帰るから。しっかり部長の一歩後ろを歩くんだよ!」

「神坂君のバカ!!」


ひとりごと

こんなことを書いたら、世の女性を敵に回すのかも知れませんが、やはり今の日本の家庭がおかしくなってきたのは、女性が強くなり過ぎたからではないでしょうか?

夫は外で働き、妻は家の中をしっかり整える。

これが理想だと思うのは、古い考え方なのでしょうか?

「あんたの稼ぎが悪いから、働くしかないんだよ!」というカミさんの声が聞こえてきそうですが・・・。


【原文】
婦徳は一箇の貞字、婦道は 一箇の順字。〔『言志晩録』第141条〕

【意訳】
婦人の徳とはただ「貞」の一字にあり、婦人の履み行う道はただ「順」の一字にある

【一日一斎物語的解釈】
かつての日本の淑女とは、貞操を守り、夫の後ろからそっとついてきたものだが・・・。


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