今日のことば
【原文】
夜寝ぬるの工夫は、只だ静虚なるを要して、思惟するを要せず。夢中の象迹(しょうせき)は昨夢に続く者有り。数日前の夢を襲(つ)ぐ者有り。蓋し念慮留滞の致す所なり。胸中静虚なれば此等(これら)の事無し。
【意訳】
夜、熟睡をするための工夫は、ただ心の中を空っぽにして、何も考えずに眠りにつくことである。夢に出てくるものは、昨日の夢の続きであることもあり、数日前に見た夢の続きである場合もある。思うにこれは思慮が胸中に留まっているからであろう。心を空っぽにすれば、こうしたことはなく、ぐっすり眠ることができよう。
【一日一斎物語的解釈】
熟睡するコツは、何も考えずに心を空にして眠りにつくことである。
今日のストーリー
営業2課の石崎君が朝から大あくびをしています。
「週の頭から大あくびかよ」
神坂課長がからかっています。
「昨日は早く寝たんですけどねぇ」
「何か悩みごとでもあるのか?」
「え? なんでわかるんですか?」
「顔に書いてある。『私は悩んでます』ってな」
「マジですか?!」
「嘘だよ。おそらく熟睡できなかったから、目覚めが悪いわけだろ。熟睡できない原因のひとつに悩みがあるんだよ」
「なるほど」
「悩むと眠れなくなる、眠れなくなると余計に心身が滅入る。そして鬱になってしまうんだよ」
「私は鬱にはならないと思いますけど」
「そう言っている奴の方が鬱になり易いらしいぞ。自分が鬱になるわけないと思うから、手当も遅れがちになる」
「嫌ですよ、うつ病なんて」
「それなら寝る前は、楽しいことを考えて、心の中をプラマイゼロにしてから寝ろ」
「課長はそうしていますか?」
「普段はな。どうせ未来のことなんか自分の思い通りになるわけないし、まだ来てもいない未来を憂いても一銭にもならないじゃないか」
「さすがは、課長です。ザ・ノー天気って感じです」
「お前、それは褒めてないだろ!!」
「あ?」
「あ、じゃねぇよ! それで、悩みと言うのは俺のことじゃないだろうな?」
「全く違います。彼女とのことです」
「早く結婚して、って言われたんだろう?」
「げっ、なんでわかるんですか?」
「顔に書いてある。『僕は結婚すべきか悩んでいます』って」
「絶対、嘘ですよ!」
「ははは。バレた? でも、お前の彼女はたしか年上だっただろ?」
「何で知っているんですか?」
「俺の情報網をなめるなよ」
「ゼンちゃんだな、あいつ口が軽いんだよなぁ。課長、私はどうしたらよいでしょう?」
「恋愛感情というのは、3年くらいで無くなるらしい。だから、3年付き合って、それでも一緒にいたいと思ったら結婚すればいいんじゃないか?」
「いま、付き合って半年です。あと2年半も待ってくれるかな?」
「そこはお前の交渉力とあっちの能力次第だろ!」
「朝から下ネタですか!(笑)」
ひとりごと
精神のバランスを保つためにも、睡眠は大切ですね。
小生も過去に何人か、うつ病になった人を見てきましたが、総じて初期症状は眠れなくなることのようです。
実は、小生も最近眠りが浅くなって、常に眠気と戦っているような感じです。
しかし、これは悩みごとのせいではなく、加齢によるものなので、仕方がありません・・・。

しかし、これは悩みごとのせいではなく、加齢によるものなので、仕方がありません・・・。
