今日のことば
【原文】
逆境に遭う者は、宜しく順を以て之を処すべし。順境に居る者は、宜しく逆境を忘れざるべし。〔『言志耋録』第132条〕
【意訳】
逆境にあるときは、総じて順境に居るかのように物事に対処していくのがよい。また順境にあるときは、総じて逆境のときを忘れないことが肝要である。
【一日一斎物語的解釈】
逆境のときはジタバタせずに順境のときのように振る舞い、順境のときは逆境を思い出し調子に乗らないようにせよ。
今日のストーリー
営業1課の清水さんが、神坂課長のところにやってきました。
「おっさん、ちょっといいか?」
「相変わらず人に相談をするときの態度じゃねぇな、お前は!」
二人は喫茶コーナーへ移動したようです。
「ここんとこ、商談で3連敗でさ。さすがにちょっと凹んでいるんだよな」
「ほぉ、お前でもそういう時があるんだな」
「あるみたいだよ。(笑)」
「それで?」
「いや、こういう時は何をすれば良いのか知りたくてよ。厄払いにでも行った方がいいのかな?」
「ははは、お前らしくないな。しかし、神社とかお寺というのはお願いをしに行くところではない。感謝を伝えに行くところだからな」
「そうなのか?」
「そうだよ。スランプになってから、『助けてください』って駆け込むのではなく、調子が良いときにこそ、『ありがとうございます』とお伝えしに行くところだ」
「なるほど。俺は、調子がいい時は何もしていないな」
「それがスランプの原因じゃないか?」
「そうかも知れないな。わかったよ、復活したら感謝を伝えに行くわ。でもよ、まずはこの状況を打開したいんだよな」
「そんなの簡単だろ」
「え?」
「調子が良い時と何も変えないことだよ」
「それじゃ、次もヤバいかもしれないじゃないか!」
「逆境のときでも、まるで調子が良い時かのように行動すればいいんだ。お前はこれまでずっとトップを張ってきたんだろ。3連敗くらいで、やり方や考え方を変えない方が良いぜ」
「そういうものなのか?」
「今が順境だと思え。だとすれば、何をすべきかわかるだろう?」
「神社か?」
「今から一緒に行くか? まずは氏神さまに感謝を伝えに行こうじゃないか!」
ひとりごと
人は順境のときには、調子に乗ってしまい、逆境になるとジタバタします。
しかし一斎先生は、順境の時こそ逆境を思い、逆境の時には順境かのように振る舞えとアドバイスしています。
処世訓として、とても素敵な言葉ですね。
だだし、言うは易し、行うは難しですが。

