今日のことば
【原文】
官署に在りては言の家事に及ぶことを戒む。家に在りては則ち一に官事を洩すこと勿れ。公私の弁は仕うる者の大戒なり。〔『言志耋録』第264条〕
【意訳】
職場においては家のことを無闇に話すことを慎む。家に居るときは職場でのことを無闇に話さない。公私をしっかりと弁えることが、仕事をする上において非常に重要なことである。
【一日一斎物語的解釈】
公私をしっかりと弁えることが仕事をする上では大変重要である、特に家庭において仕事の話をする際には注意が必要である。
今日のストーリー
今日の神坂課長は、同業他社M社の桜井さんと雑談しているようです。
「神坂さんは、家庭で仕事の話をしますか?」
「俺は全然しないなぁ。ウチのカミさんはまったく興味がないからな。話すだけ、時間の無駄なんだよね」
「そうですか。あんまり話をしない方がいいんでしょうね」
「どうしたの、急にそんなこと聞いて」
「実はあんまり大きな声で言えないんですけど、ウチの会社のとある人が会社の人事の話を奥さんに話したところ、その話が奥さん連中のLINEで回ってしまって、大問題になったんですよ」
「異動する本人が、奥様のLINEで自分の異動を知ったということ?」
「そうなんです」
「それはマズいね。ということは、それを漏らしたのは課長以上の誰かさんだね?」
「はい。公私はしっかりと弁えないといけないなと思った次第です……」
「まさか、漏らしたのは桜井さんじゃないよね?」
「違います、違います。ただ、私も結構カミさんにペラペラしゃべってしまう方なんで(笑)」
「そうか。そういう意味では、わが家はその手のリスクは少なそうだな」
「たしかに、話すことがなければ、洩れることもないですもんね(笑)」
「逆に、職場の家庭の話をすることも気をつけないといけないかもな。旦那経由で家庭の秘密が同僚の奥様に知れてしまうのも怖いよな」
「なるほど、そっちの方が怖いかも。ウチには鬼嫁がいますから……」
ひとりごと
会社の秘密事項でも、ついつい家庭で話してしまうことはあるでしょう。
しかし、それが思わぬルートでオープンになるということもなきにしもあらずでしょう。
社外秘の事項は、家庭においても漏らさぬに越したことはありません。
また、家庭の事情もあまり社内で話さない方がよいでしょうね。