一日一斎物語 (ストーリーで味わう『言志四録』)

毎日一信 佐藤一斎先生の『言志四録』を一章ずつ取り上げて、一話完結の物語に仕立てています(第1066日目より)。 物語をお読みいただき、少しだけ立ち止まって考える時間をもっていただけたなら、それに勝る喜びはありません。

佐藤一斎

第2258日 「年齢」 と 「現状」 についての一考察

今日のことば

【原文】
少者は少に狃(な)るる勿れ。壮者は壮に任ずる勿れ。老者は老に頼む勿れ。〔『言志耋録』第332条〕

【意訳】
若い人は、若さをいいことにして図に乗ってはいけない。働き盛りの壮年の人は、みなぎる力を自負して思いのままに任せてはいけない。そして老人は、年の功を誇るような態度をとってはいけない

一日一斎物語的解釈
若い人は若さを、壮年の人は活力を、老年の人は老いを言い訳にしてはいけない。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、営業2課の梅田君と同行中のようです。

「課長、すみません。私の対応のまずさでクレームになってしまって・・・」

「気にするな。誰もが通る道だ」

「若いというだけで、知識がないと決めつけられたのが悔しくて、つい言い返してしまいました」

「ははは。お前らしくて良いさ。俺の若い頃もそうだった」

「課長もですか?」

「『若造のくせに』みたいな言われ方や態度をされるとムカついたもんだよ。たしか、お前と同じようにドクターに文句を言ってクレームになったこともあった気がする」

「そのときは佐藤部長に同行してもらったのですか?」

「うん、たぶんな。覚えてないけど。(笑)」

「嬉しいです」

「バカたれ、そこで喜ぶな!」

「あ、すみません」

「しかし、若さを言い訳にする奴よりはよっぽど見込みがあるよ」

「どういうことですか?」

「『新人なので、わからないです』みたいなことを言う奴もいるからな。若さを言い訳にしていたら、何も成長できないよ」

「あー、そういうことは口が裂けても言いたくないです!」

「いいね! 若者は若さを、俺たち世代は活力があることを、そしてベテランを老いを言い訳にしてはいけないな

「はい!」

「さて、到着したな」

「はい。なんとかこのまま担当させてもらいたいので、ご支援をよろしくお願いします」

「そこは任せておけ!!」


ひとりごと

地味な言葉ですが、小生はこの章句が好きです。

意外と年齢を言い訳にしてしまいがちです。

しかし、それは自分側の問題であって、相手には関係のないことです。

常に、今できるベストを尽くせば、年齢は関係ありませんね!


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第2257日 「天寿」 と 「老化」 についての一考察

今日のことば

【原文】
老人の天数を終うる者は漸を以て移る。老いて漸く善く忘る。忘ること甚しければ則ち耄(ぼう)す。耄の極は乃ち亡ず。亡ずれば即ち漸(し)して原数に帰す。〔『言志耋録』第331条〕

意訳
人が天寿を終えるときには次第に終わりへと近づくものだ。年を取ると次第に忘れ易くなる。忘れることが甚だしいと耄碌(もうろく)する。耄碌の果ては死ぬことである。人間は死ぬと肉体を失って運命の原点に戻っていくのだ

一日一斎物語的解釈
人は徐々に老いていく。老いて、物忘れがひどくなり、やがては死を迎える。死ねば土へと帰っていく。


今日のストーリー

営業2課の本田さんが喫茶コーナーでため息をつきながらコーヒーを飲んでいます。

「本田君、どうした? 元気がないな」

「あ、神坂課長。実は、私の祖父の痴呆が一気に進んでしまいまして・・・」

「あー、そうなの。お爺ちゃんはおいくつ?」

「78歳になったばかりです」

「今までは元気だったの?」

「はい。めちゃくちゃ元気でした。腕相撲をしても、私が負けるくらいでしたから」

「それはすごいね!」

「それが先日、自転車に乗っていてコケて、足の骨を折ってしまったんです」

「それは大けがだね」

「はい。それで、しばらく寝たきりになったんですけど、その間に一気に痴呆が進んだらしいんです」

「また、動くようになったら徐々に回復するんじゃない?」

「私もそう期待していたんですけど、身体が治ってから3ヶ月経っても痴呆は進む一方だそうです」

「そうか」

「仕方ないことですけどね。年をとればいつかはボケてしまうこともあるでしょうし、自分でもよく『あと何年生きられるか』なんて言ってましたから」

「それはそうだけど、やっぱり辛いことだと思うよ」

「本当に元気だっただけに、そのギャップがショックで、祖父のことを考えるとどうしても悲しくなってしまって・・・」

「少しでも長生きして欲しいと思うのは、子供や孫なら当然の気持ちさ」

「あんまり祖父のところにも帰れていなかったのも、心残りで・・・」

「本田君、いまはこういう時期だ。少し休みを取ってお爺ちゃんのところへ行って来いよ」

「え?」

「もしかしたら、本田君の顔を見たら、少し良くなるかも知れないよ。もし、本田君のことすらわからなくなってしまったとしても、まだ元気なんだから、お爺ちゃん孝行できることはあるはずだよ」

「はい。GWもコロナがあるから控えておこうかと思ったんですけど、帰省してみます」

「うん、30日は年休を取って、少し長めにお爺ちゃんとの思い出作りをしてきなよ」

「神坂課長、ありがとうございます!!」


ひとりごと

小生の父方の祖母は、80歳を超えても非常に元気でしたが、梯子から落ちて足を骨折した際に一気に痴呆が進んでしまいました。

最後は、父にも「お宅は誰かね?」と聞くくらいだったそうです。

人はいつかは老いて、物忘れがひどくなり、そして死んでいきます。

両親や祖父母には、生きている間にできるだけのことをしてあげたいですね。


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第2256日 「決断力」 と 「日々の鍛錬」 についての一考察

今日のことば

【原文】
老人の決を少(か)くは神気乏しきを以てなり。唯だ事理精明なれば、則ち理以て気を率い、此の弊無きのみ。〔『言志耋録』第330条〕

【意訳】
老人が決断力に欠けるのは、精神の活力が乏しくなってくるからである。ただ、物事のあるべき道理に明るく詳しければ、理を活かして精神を率いるので、そうした弊害はないものだ。

一日一斎物語的解釈
活力が衰えると決断力が鈍るものである。しかし、その道の専門的な知識を有していれば、最適な決断をすることは常に可能なはずである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長の相談を受けているようです。

「これは雑賀が取ってきた案件なのですが、メーカーさんと病院のこれまでの関係もあり、薄利での商売になります。私としても乗るべきか降りるべきか判断に迷っています」

「外来患者案内システムって医療機器じゃないもんな。これをやる意味はどこにあるんだ?」

「雑賀が言うには、各科に顔を出すことが可能になるらしいです」

「なるほど、それは面白いな」

「雑賀は、A医科大学のIT推進課の森崎さんとかなり仲が良いみたいで、医療機器ではないIT案件をいくつか紹介してもらっているんですよ」

「あいつ、なかなかやるじゃないか!」

「私はIT関係の知識に乏しいので、判断しかねるんですよね」

「それは俺も同じだよ。やっぱり、その道に精しくないと、よい判断はできないよな」

「雑賀はここでこの商談に噛んでおくと、後の放射線治療器の商談にも関われる可能性があると言うんです」

「放射線治療器って何億もする器械だろ。それはY社の専売特許で、ウチはほとんど噛めていないよな?」

「はい。今度、雑賀と一緒に放射線部の技師長さんにお会いしてくる予定です」

「そこまで話が進んでいるなら、この商談に乗っかるしかないだろう」

「やっぱりそうですよね。神坂さんにそう言って欲しかったんですよ」

「とはいえ、佐藤部長には相談してから進めろよ」

「もちろんです。神坂さんと相談したことはお伝えして良いですよね?」

「もちろんだよ。そんなことでへそを曲げる部長じゃないからな。しかし、これはやり方次第では、新しい柱になるかも知れないぞ」

「我々もちゃんとしたジャッジができるように、ITを勉強しないといけませんね」

「そこは任せた! お前は特販課の課長だからな」

「神坂さん、逃げないでくださいよ!!」


ひとりごと

人間の判断力は、その時の体調によっても大きく影響を受けるものです。

しかし、豊富な専門知識や経験があれば、それを補ってくれるでしょう。

努力は裏切らない、と云います。

日々の鍛錬を怠らないようにしましょう!


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第2255日 「利己の養生」 と 「利他の養生」 についての一考察

今日のことば

【原文】
養生の一念、孝敬より出ずるは、固より天に事うるの道たり。常人の養生は或いは是れ自私なり。宜しく択ぶ所を知るべきのみ。〔『言志耋録』第329条〕

【意訳】
養生への思いが、親への孝行や尊敬の気持ちから出たものであるなら、それは天道にかなったものである。ふつうの人の養生は、利己的な思いから生じていることが多い。どんな理由で養生をするのかをはっきりしておくべきであろう

一日一斎物語的解釈
自分の損得勘定からだけで養生をすることは、宇宙の摂理に反している。


今日のストーリー

「あれ、お前昼ごはんは?」

営業部特販課の大累課長が雑賀さんに声を掛けたようです。

「昼は抜いてます。ダイエット中ですから」

「お前、以前にダイエットで無理し過ぎて倒れたじゃないか。また、倒れるなよ!」

「前回はほぼ絶食でしたからね。今回は昼抜き、夜の炭水化物抜きのダイエットなので、大丈夫です」

「目的は、例の彼女か?」

「いえ、別の人です」

「前の女の子にはフラれたのか?」

「・・・」

「そうか、『デブは嫌い』って言われて頑張ってダイエットしたけど、結局倒れて、たいして痩せられなかったもんな。(笑)」

「人の不幸を笑うなんて、上司として最低ですね!」

「部下として最低のお前に言われたくないわ! しかし、いい年こいて、女にモテたくてダイエットするってのもどうかと思うぞ」

「プライベートのことにまで、口を出されたくないですね」

「そうだろうけどさ。むしろ、お前のことを誰よりも心配しているお母さんのために、もう少し痩せて長生きしなきゃいけないんじゃないの?」

「もちろん、母の為でもありますよ。彼女ができて、結婚して、孫ができたら喜ぶじゃないですか」

「たしかにな。いずれにしても自分の損得勘定だけで痩せるんじゃなくて、周囲の家族のため、あるいはお客様のためにダイエットするという意識が大事だな

「課長も少しダイエットした方がよくないですか?」

「そうなんだよな。最近、食えば食うだけ太るんだよ」

「ダイエットはしないんですか?」

「今、お前に偉そうにダイエットの話をしながら、自分を責めていたところだ。(笑)」

「課長には、奥さんもお子さんもいるんですから、元気で長生きしないとダメですよ!」

「ま、まあ、そうだな。って、なんで俺がお前に説教されなきゃいけないんだ!!」


ひとりごと

利己的な養生はよろしくない、と一斎先生は言います。

自分の身体は自分だけのものではないと認識し、養生すれば、宇宙の摂理に適うのだそうです。

この年齢になると、漠然とした死への恐怖は薄れていきます。

だからこそ、利己的でない養生を心がけねばならないのでしょう。


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第2254日 「学び」 と 「人生」 についての一考察

今日のことば

【原文】
人生は二十より三十に至る、方(まさ)に出ずるの日の如し。四十より六十に至る、日中の日の如く、盛徳大業此の時候に在り。七十八十は則ち衰頽蹉跎(すいたいさだ)して、将に落ちんとする日の如く能く為す無きのみ。少壮者は宜しく時に及んで勉強し以て大業を成すべし。遅暮(ちぼ)の嘆(たん)或ること罔(な)くば可なり。〔『言志耋録』第328条〕

意訳
人生においては、二十歳から三十歳までは、日の昇るような勢いのある時期である。四十歳から六十歳までは、日中の太陽のように日々徳も盛んとなり、大きな仕事ができるときである。七十歳、八十歳となると、衰えて思うように仕事がはかどらなくなり、まるで落日のようで何もできなくなる。青年期、壮年期にある人は、しっかりと学問に取り組み、大きな仕事を成し遂げて欲しい。晩年になって嘆くことがなければ、それに超した事はない。

【一日一斎物語的解釈】
二十代・三十代のうちに、学びと実践をトライアンドエラーで繰り返し、大仕事ができる四十代以降に備える必要がある。納得できる仕事ができないままに六十代を迎えれば、後悔の念に堪えられないであろう。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長、新美課長と雑談中のようです。

「つくづく思うんだけどな。働き方改革って良い面ばかりではないよな」

「そうですね。もし、私たちが若い頃に『残業するな、早く帰れ』なんて言われていたら、ロクなことをしてなかったでしょうからね」

「間違いないよな。飲み歩いて、店で暴れて、出禁の店が日増しに増えただろうな。(笑)」

「あの~、私をお二人と一緒にしないで頂きたいんですけど・・・」

「細かいことを言うな。大きな括りでみれば、新美も俺たちとは同じ穴の狢だよ」

「承服できん!!」

「大河ドラマの渋沢栄一か!」

「今の若い奴らはどうなんでしょうかね? 早く帰って、仕事の準備とか読書とかをしているのでしょうか?」

「ウチに来るような連中は、所詮は勉強嫌いな奴らばかりだからな。それは期待できないだろうな」

「願海君くらいですかね?」

「たしかに、あいつは本も読むし、人の気持ちも読めるし、将来の幹部候補だな」

「結果的に、私たちは夜遅くまで仕事をさせられて良かったんでしょうね。こうやって課長になって、人の上に立たせてもらえているんですから」

「本当だよな。俺はともかく、大累とか新美が課長になるとはなぁ〜」

「よく言いますよ。先輩方が一番驚いていたのは、神坂さんが課長になったときですよ!」

「地球が滅亡するのではないかと心配する人も居ましたね」

「嘘つけ! そこまで大袈裟な奴がいるわけないだろう?」

「いや、大竹課長がそう言ってましたよ」

「ちっ、あのおっさんなら言いそうだ。でも、それは本心じゃないさ」

「さすがはスーパーポジティブ人間だなぁ」

「ノー天気とも言いますけどね」

「まったく失礼な後輩どもだ。しかし振り返ってみると、たしかにあの頃夜遅くまで働いたことは無駄ではなかったんだな」

「いろいろ失敗はしましたが、そういう経験が今になってかなり効いているとは思いますね」

「そして、現状に満足せず、我々四十代も学び続けないといけませんね」

「そうだな。そうしないとやりたいこともできない上に、誰からも頼られず、寂しい老後が待っているんだろう」

「それは怖い!」

「結局、生きている限り学び続けなさいということですね」

「人生死ぬまで勉強か!」


ひとりごと

二十代・三十代で手を抜いた仕事をすると、四十代・五十代で大きな仕事ができません。

四十代・五十代で手を抜くと、六十代・七十代で寂しい人生を歩むことになるそうです。

つまり、現在の自分の行動の結果は、二十年後に明確になるということでしょう。

人生死ぬまで勉強だと言われる所以ですね。


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第2253日 「大自然」 と 「養生」 についての一考察

今日のことば

【原文】
老人は宜しく流水に臨み、遠山を仰ぎ、以て恢豁(かいかつ)の観を為すべし。真に是れ養生なり。倘(も)し或いは風寒を怯(おそ)れ、常に被を擁(よう)し室に在るは、則ち養に似て養に非ず。〔『言志耋録』第327条〕

【意訳】
老人は川の流れを目にしたり、遠くの山を仰ぎ見るなど、広大な眺望を観るようにすべきである。本当の養生とはこういうものである。風や寒さを恐れて、いつも布団にくるまって部屋の中にいるのは、養生のようでいて、実際には養生にはならないものだい。

一日一斎物語的解釈
高齢者にとっては大自然に触れることが一番の養生である。病気を畏れて常に家の中に閉じこもっていてはかえって病気になってしまう。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、相原会長を岐阜の岩村へ連れ出したようです。

「おー、素晴らしい眺めだね」

「あそこに見えるのが御嶽山です」

「あー、そういえば何年か前に大噴火したことがあったね」

「はい。2014年ですね。あの頃はここからもはっきり白煙が見えたそうです」

「神坂君はこの岩村城址によく来るの?」

「年に一回くらいですかね。佐藤部長とは何度か訪れています」

「そうか、ここは佐藤一斎の故郷だったね」

「はい。厳密には一斎先生は、岩村で暮らしたことはないんですけどね」

「あ、そうなの?」

「はい。江戸の岩村藩邸で生まれて、ずっと江戸で暮らしています。ここには一度訪れただけじゃなかったかな」

「そうなんだね。それにしても、こうして自然の中でおいしい空気を吸うと生き返る思いがするね

「最近、ちょっと会長が元気がなかったので、こういうときは大自然が一番の薬かなと思いまして」

「うん、間違いないね。生きる勇気が湧いてきたよ」

「家に籠っていたら、かえって病気になっちゃいますからね!」

「うん、そうだね」

「まだまだ会社にお力を貸してくださいますね?」

「僕でよければ!」

「ありがとうございます!!」

「さて、ここまで連れてきたお礼に、美味しい食事をご馳走するよ」

「その言葉、待ってました!!」

「運転があるからお酒が飲めないのは残念だね」

「会長はしっかり飲んでください。ここの日本酒は最高ですよ!」


ひとりごと

大自然の目に見えない力は凄いものです。

ちょっと元気が出ないときに、山や海を眺めていると、なぜか生きる勇気が湧いてきます。

小生は、年に一度くらい岩村を訪れることにしています。

岩村に来ると、いろいろなことがリセットできるからです。

皆さんにはそういう場所がありますか?


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第2252日 「笑顔」 と 「養生」 についての一考察

今日のことば

【原文】
老人は平居索然(さくぜん)として楽しまず。宜しく毎(つね)に喜気を存じ以て自ら養うべし。〔『言志耋録』第326条〕

意訳
年を取ると平常では何も楽しむことがなくなりがちである。だからこそ、いつもニコニコして笑顔を絶やさず、それをもって養生とすべきである

一日一斎物語的解釈
いつもニコニコ笑顔を絶やさないことが、健全に過ごす秘訣である。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、YouTubeで『孔田丘一の儒学講座を観ているようです。

「諸君、いつまでコロナに怯えておるんじゃ! あれは、ちょっと感染力の高い風邪に過ぎんとわしの知り合いの医者が言っておったぞ」

「とはいえ、わしは糖尿があるからの。もし罹ったらイチコロじゃがな。ははは」

「ったく、何が面白いんだよ、このジジイ」

「何が面白いんだと、思っておるじゃろう?」

「げっ、なんでわかったんだ?!」

「このくらいの年齢になったらな。できることがドンドン減って、できないことが増えてくる。寂しいものじゃて」

「そういえば親父もそんなことを言ってたな」

「免許も返納してしまったから、彼女とドライブにも行けないしのう」

「彼女って、いくつだよ!(笑)」

だから、せめて笑顔で過ごさねば、寂しさがストレスになって、病んでしまうんじゃよ」

「なるほど」

「笑いヨガなどというちょっと馬鹿げたものを真剣にやっておる連中もおるくらいでな。笑うということは、人間にとって、とても重要なんじゃ」

「物事がうまくいったときは、自然に笑みもこぼれるじゃろうが、うまくいかなかったときこそ、ダメな自分を笑って許してあげるべきじゃぞ」

「どうせ完璧な人間などおらんのだ。不完全さを楽しめる爺にならねばのう」

「不完全さを楽しむ、カッコいいじゃないか!」

「今日も小便を我慢してたときに、くしゃみをしたら、ピューっと放出してしまってな。思わず大笑いじゃよ」

「いやいや、笑えないって!!」

「とにかく、笑う門には福来る。毎日、声を出して笑いない」

「そういえば、最近は飲み会もないし、大笑いしていないなぁ」

「諸君、今日はダメな自分を笑いとばしてから、眠りにつきなさい。実はいまもまた小便を我慢しておるんじゃ。ピューっと行く前に終りにするよ。ではまた!」

「汚ない話で締めくくるな!!」


ひとりごと

小生の尊敬する大先輩たちは、皆さんいつもニコニコしています。

まさに、その先輩たちは、幸せだから笑っているのではなく、笑っているから幸せなのでしょう。

笑顔を忘れてしまうと、心が病んでしまいます。

どんな小さなことでも良いので、笑えるネタを探してみましょう!!


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第2251日 「高齢」 と 「決断」 についての一考察

今日のことば

【原文】
老人は持重(じちょう)無きを患えず、決断無きを患う。〔『言志耋録』第325条〕

【意訳】
年をとったら慎重すぎることを心配する必要はないが、決断力が欠けることを心配しなければならない、

【一日一斎物語的解釈】
年齢とともに慎重になり過ぎで決断力が鈍ることがあるので注意が必要である。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、相原会長とナイター競艇にやってきたようです。

「神坂君、最近ギャンブルの調子はどう?」

「まあまあですかね。当たったりハズレたりです」

「ハズレっ放しじゃなければOKでしょ?」

「はい、そう思っています。会長はどうですか?」

「それがね、年齢と共に慎重になり過ぎるところが出てきてね、決断力が鈍ってきている気がするんだ。昔なら、仕事上での大きな賭けでも、いけると信じたら決断できたのに、最近はたかがギャンブルごときで決断できないんだよね。その結果、大穴を逃すということが何度かあったなぁ」

「そういうものですか? でも、ギャンブルは時の運ですから、買うも買わないもその時の運ですよ」

「そう思いたいんだけどね。決断できない自分にショックを受けてしまうんだよね」

「ダメですよ、会長! 会長はいつも笑っていてくれないと」

「中座さんにも言われたよ。会長は会社の太陽だってね」

「そうですよ!」

「でも太陽だって年を重ねれば、輝きは鈍ってくるものだよ」

「あらら、今日の会長は重症だなぁ。じゃあ、ここらでちょっと休憩して、なにか食べませんか? 中にフードコートがありますから」

「そうしようか」

二人はフードコートに場所を移したようです。

「そうか、ここはアルコールはダメなんだね」

「ノンアルのビールも最近は結構旨いですよ。では、乾杯!」

「乾杯! ほぉーっ、よく冷えてる。旨いね!」

「でしょ?」

「やっぱり、お酒を飲むと元気が出るね!」

「会長、それノンアルじゃないですか。ほら、やっぱり気持ちの問題ですって。次はスパッと直観を信じて舟券を買いましょう!!」

「そうだね。たかがギャンブルだ。即断即決で楽しむことにするよ!!」


ひとりごと

現在54歳の小生は、まだ決断力が鈍るという感覚はありません。

しかし、圧倒的な記憶力の低下を感じています。

そのうち決断力にも翳りが見えてくるのでしょうか?

まぁ、小生の場合は、少し慎重になるくらいが丁度良いのでしょうが・・・


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第2250日 「両親」 と 「孝行」 についての一考察

今日のことば

【原文】
親歿するの後、吾が軀(み)は即ち親なり。我れの養生は即ち是れ親の遺を養うなり。認めて自私と做す可からず。〔『言志耋録』第324条〕

【意訳】
親が没した後は、自分の体はそのまま親のものである。我が身を養生することは、親の遺体を養うことでもある。そのことをよく理解して、自分だけのものだと思ってはいけない

【一日一斎物語的解釈】
親が亡くなった後は、我が身を父母の遺体だと捉えて、親の遺体を養うつもりで養生すべきである。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、大累課長と同行中のようです。

「中国の古典によると、本当の親孝行というのは、親が亡くなった後、我が身を親の遺体だと思って養生することらしいんだよな」

「分かる気がします。俺の両親は二人ともすでにあの世に居ます。天国の両親を喜ばせるには、自分の身体をしっかりケアして、日々を元気に過ごすことだと思うんです」

「なるほどな。俺はまだ両親が健在なので、いまひとつこの言葉の意味が理解できなかったんだ。でも、今のお前の話を聞いて、すこし理解できた気がする」

「立身出世して名を成すことができれば、もちろん親にとっても嬉しいでしょうけど、それで身体を壊してしまったら本末転倒ですし、そんなことを両親は望んでいないと思うんですよ」

「たしかにな。馬鹿でもいいから、元気に育って欲しいというのが、我が子に対する親の共通の願いだもんな」

「はい。でも、せっかく両親ともに健在なら、ちゃんと目に見える親孝行をした方がいいですよ」

「目に見える親孝行か」

「はい。俺は両親が亡くなってから、もっと孫の顔を見せてあげればよかったとか、旅行に連れてってあげればよかったとか、後悔の念ばかりが浮かんできましたからね」

「そこだよな。去年はCOVID-19のおかげで、帰省できていないんだ。母親は糖尿病を持っているから、万が一のことを考えると簡単には会えないと思ってしまう」

「もちろん、俺も親が生きていたら、同じように思ったでしょうね。でも、すでに両親を亡くしている俺に言わせてもらうなら、ぜったいに帰省すべきです。不謹慎な言い方ですが、来年ご両親が健在かどうかはわかりませんからね」

「うん、それは痛切に感じている。お盆の時期はあきらめるとしても、年末年始は何があっても帰省しようかと思っているんだ」

「その方が絶対に後悔は少ないですよ!」

「『〇〇すればよかった』って思う方が、『〇〇しなければよかった』と思うよりマシだよな?」

「俺は断然、そう思いますね」

「ありがとう、大累。決心がついたよ」

「いまでも帰省って言葉を聞くと、羨ましい気持が抑えられませんよ」

「そうだな。ごめんな、親の話を思い出させてしまって」

「いえいえ、この思いを伝えられただけで、天国の両親も喜んでくれているはずです」


ひとりごと

小生の両親は幸いにも健在です。

小生の友人・知人の多くが既に親を喪うという経験をしている中で、これは本当にありがたいことです。

だからこそ、目に見える親孝行をせねばと思います。

今年は次男が受験のため、親子そろっての規制は難しいかも知れませんが、せめて私だけでも帰省することを検討中です。


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第2249日 「朝活」 と 「養生」 についての一考察

今日のことば

【原文】
暁には早起を要し、夜には熟睡を要す。並びに是れ養生なり。〔『言志耋録』第323条〕

【意訳】
朝は早起きをし、夜は熟睡する。このふたつは養生といえる

【一日一斎物語的解釈】
早起きと熟睡こそ、養生の基本である。


今日のストーリー

今日の神坂課長は、いつもより早く会社に出社したようです。

「あれ、山田さん。おはよう、早いね」

「あ、神坂課長、おはようございます。はい、私はいつもだいたい7時には出社しています」

「素晴らしい。俺は今日、かなり早く出社したつもりだったけど、すでに施錠が開錠されていたから驚いたんだ」

「私は夜10時には就寝して、5時には起きています。6時過ぎに家を出ると、だいたい7時には会社に着きます」

「夜10時に寝るの? 早いねぇ。でも、それだと5時に起きても7時間睡眠か!」

「はい、しっかり熟睡できますよ」

「俺は寝るのが1時~2時の間だからなぁ。6時半まで寝ても、4時間半~5時間半ってところか」

「その睡眠時間だと、私は昼間に眠くて仕事になりませんから」

「たしかに、俺もランチの後はかなり眠くなるけどね。(笑)」

「しっかり寝て、朝早く会社に来れば、昨日の残務処理と当日の準備を始業前に全部終えることができます」

「早起きは三文の得ってことか?」

「いえ、早起きと熟睡は三文の得だと思います」

「あー、なるほどね。健康にも良いよね?」

「はい、快適に朝を迎えて、気持ちよく一日を始められますよ」

「見習いたいと言いたいところだけど、夜10時に寝るのは無理だなぁ。テレビも観たいし本も読みたいからねぇ」

「私はあまりテレビは観ないのと、本は通勤の電車の中と始業前の余った時間で読むようにしています」

「たしかに最近は夜遅くに本を読んでも、すぐにウトウトしちゃうんだよね」

「年齢には勝てませんね」

「そうか、早起きと熟睡ね。たしかに心身にとって良さそうだ。俺も意識してみよう!」


ひとりごと

睡眠時間を7時間確保すると良いと聞きます。

しかし、20時~21時に帰宅して、晩御飯を食べ、テレビを少し観て、その後にお風呂に入れば、あっという間に22時になってしまいます。

その後で読書をしようと思えば、どうしても日付が変わります。

7時間睡眠を確保するのは、至難の業です。

しかし、一方で0時を超えると、本を読んでいても頭に入ってきません。

早く寝て、朝の時間を有効に活用すべきなのかも知れませんね。


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れみれみ